畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

連載45『MAXの災難』(その1)

2015-11-23 05:48:07 | 登山

 
   MAXの災難

 MAXと言っても、JR東日本の新幹線2階建て車両の名前ではない。
私のかわいい子分である柴犬系の雑種犬の名前である。
  
 今までに二度、事故で犬と悲しい別れをし、さすがに動物好きな我が家も、
誰も飼いたいとしばらく、言い出さなかった。

 しかし、味気無い単身赴任中の話題で、私が自宅通勤になったら、
再び飼う事に家族の話しがまとまったのである。

 単身赴任が終わって、一月少しで子犬を紹介してくれる人があり、
家内と二人で見合いに出かけ、帰りには連れて帰った。
 今度こそ長生きしてもらおうと、相談の結果、可愛さよりも強さと「マックス」と名前は決まった。
家族五人が大喜びで可愛がった。

 きかん気のやんちゃに育った。生後十ヶ月で登山にも連れ出した。
山の畑では自由に駆け回り、しばらく姿を見せない時は、
近所の人達が山の斜面で山菜取りをしている所に行って驚かせていたようだ。

 昨年も家内とMAXで、晩秋の登山を楽しんだ。朝早く登ったこともあり、
他の登山者は一人に会ったのみ。MAXは行き戻りつ、私達の優に三倍は歩いただろう。

 しかし、それから間も無くのこと、急に元気を無くし、食べ物を吐き、
ついには水さえ受け付けなくなってしまった。

 獣医も懸命に調べてくれたが中々、分らない。入院し、
しばらくすると「レプトスピラ」ではないかと連絡が入った。聞いた事も無い病気である。
野ネズミを媒体とする病気で、この地域では何十年も発症例が無かったが、
今年は近くで発生しているとの事である。
 入院し点滴の管を噛み切らないよう、特製の首輪を付けられ、情け無いような顔で檻に入っているMAXに毎日、
家族の誰かが会いに行った。
痩せ細るばかりの様子に最悪を考え、家に連れ帰り最後を迎えさせようかとさえ思った。

                   (続く)

   (写真の日付からもお分かりのように14年前のお話です)
コメント (4)
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