これは何年か前の、鮭が豊漁だった年に頂いた塩鮭。大きくてまな板からはみ出していました。
出刃包丁が「アジ割き」と呼ばれる小型の出刃に見えるほどの大きさでしたよ。
歳取り魚(その1)
暮れ、大晦日が近づくと親戚から大きな塩引き鮭が送られてくると、いよいよ年末と言う雰囲気が高まり、
大掃除などに追われることとなる。
塩のたっぷり効いた大きな塩鮭は一晩大きなタライの中で泳がせ、塩を抜いて翌日切り身にする。
頭を鰓の下から切り落とし、先ずは三枚におろす。
そして、一の切れと呼ぶ、胸鰭付きの切り身を神様に備えるために切り、順次尾に向かって切り身を作っていく。
切り落とした頭と、三枚におろした真ん中の中骨は、これも年取りと正月のご馳走用の、
昆布巻きの「中継ぎ」とも呼ばれる、芯として食べられることとなる。
昔、鮭や鯉の一匹物をおろすのは男の仕事と決まっていた。
しかし、我が家の場合は妻が教え手の私の腕をはるかに超える「出藍の誉れ」と言うやつで、
上手になり私の出番は固い頭と中骨の処理のみとなってしまった。
何時頃からか、魚好きの亡母が覚えて作り始めたのだと思うが、
頭を解体し「氷頭」と呼ばれる軟骨を取り出し「氷頭なます」を作ることにもなった。
その氷頭だけで作る贅沢な「氷頭なます」も高級食材として店頭に並んでいることも有るが、
その高価さ故に買い物かごに入ったことは無い。
我が家では大根のなますとともに鮭の氷頭も入ることとなる。
暖かくても美味しいけれど、冷えて軟骨から出た成分で、煮凝り状態になっても酒にはぴったりの摘みともなってくれる。
(続く)