「憑神」製作委員会
監督・脚本 降旗康男
撮影 木村大作
配下の人間がいさかいをし 責任を取らされ お役ごめんとなり養子先からも離縁となり 生家に戻った彦四郎(妻夫木 聡)は 兄夫婦に遠慮し肩身の狭い行く先の定まらぬ暮らしをしていたが かつての学友の榎本の出世がある神社参りのあらかたな霊験によると教えられ自分もあやかろうと 参拝することを思い立つ
が しかし
彼がお参りしたのは 世にも珍しくも恐ろしくも 順番に入れ代わり立ち代わり三度 ある神様が訪れるー参ってはいけない 触らぬ神に祟りなしーの祠だった
最初は貧乏神(西田敏行)
ただでさえ貧乏なのにとっつかれてはたまらないーと彦四郎は思う
婿養子先の家の者で 引き立ててくれた彦四郎の人柄に心酔している若侍(佐藤隆太)は 霊感がありその力で貧乏神から 貧乏神の活躍をよそに回していただく事ができると聞き出す
婿養子先を追い出されたのは舅(石橋蓮司)の最初からのー後継ぎさえもうければ種馬(婿)は要らんわーという企みであった事を知った彦四郎は 舅が少し酷い目にあえばよいわーとそちらで仕事してくれるように 貧乏神にお願いする
が 仕事熱心な貧乏神は 舅の家を丸焼けにしてしまった
仕事を終えた貧乏神は去っていくが
入れ替わりに疫病神(赤井英和)がやってきた
相撲取り姿の疫病神は 実直な彦四郎の人柄
母(夏木マリ)を大事にし 焼け出された無理矢理離縁させられた妻子に少しでも助けになろうとするさまや 兄の息子などへの接し方を見るにつけ 前(さき)の貧乏神と同じに 彦四郎には祟りたくないと思うようになる
疫病神は酒ばかり飲みお役目はサボる彦四郎の兄(佐々木蔵之助)に祟ることにした
きつい仕事も厭わない彦四郎は 兄の上司からも目をかけられ 錯乱し病に倒れた兄に替わり 家を任される
やっと疫病神が去った後に現れたのはー
愛らしい少女姿の死神(森迫永依)だっ た
死神はなんとかして彦四郎を殺そうとするうち 逆にその温かな人柄に前(さき)の神達と同様に死なせたくなくなる
一方 将軍 徳川慶喜の姿を見 言葉を交わした彦四郎は かつての勝海舟(江口洋介)の言葉の意味が分かった
彦四郎は慶喜に生き写しだったのだ
幕府軍は大阪から敗走
徳川幕府に仕えてきた武士達は よって立つべき場所を失った
彦四郎は 慶喜生き写しの姿で 武士達の誇りを取り戻した意義ある死を迎えさせてやるべく 自分の命を使うことにし
彦四郎を殺したくないと 姿がそっくりの慶喜の命をとりにいく死神を止めた
そうして時代は流れ
古びた忘れられた祠から少女の声が 作家・浅田次郎に語りかけます
佐々木蔵之介さんのいい加減ぶり 夏木マリさんとのやりとりも実に楽しいです
蕎麦屋の香川照之さんの適度なへたれぶり
貧乏神の西田敏行さんは楽しんで演じているように見えます
彦四郎の離縁した妻役の笛木優子さんの夫への情愛はあるも 父にはさからえない哀しさ寂しさ
貧乏くじひいてる彦四郎を思う母の夏木マリさん
「ルーキーズ」の先生役でブレイクした佐藤隆太さんも面白く
妻夫木 聡 さんは 息子や甥 これからの世界に生きる者達を思う情感もうまく漂わせておりました
映画のタイトル「憑神」が出る場面は 何処か京極夏彦さん原作の怪 百物語シリーズを映画化したものと ちょっと同じ種類の匂いを感じました
数年前 原作の小説を読んだ時は 最初が楽しかっただけに
ああ こういう終り方をしてしまうのだと思った記憶があります
2005年10月本を読んだ時の感想です
「養子に入った先を 追い出された彦四郎
種馬としてしか見られていなかったのだ
そのうえ 拝んだ祠は 三巡の神様が憑くというものだった
ただの{神}ではない
それぞれの神様と 珍妙な会話をしつつ
幕末
彦四郎は 自分のすべきことを見出す
不器用な男の 通すべき筋
人からは アホウと言われてもいいのだ 」
こちらは↓
http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/hs1209/main
OCNカフェ「HS1209'S -EYE」の日記に入れております
この頃は カフェのサイトとブログと両方に読書感想を入れてました
読んだはずなのにブログに感想ないーと思ったら^^;