ぞわぞわとする 気色が悪いと言うのか
ならば 考えなければいい 何が原因か・・・などとはー
目を閉じて眠れ 眠ってしまえ ただ眠れ
そうすれば 朝がやってくる
みしみしと 何かが歩いている・・・ そんな気がする・・・
いや 気のせいだ
板の間のすりガラスから 向こうから 何かが 覗いてはいまいか
あれは・・・目ではないのか
ほら 黒目が動く
こちらの様子を窺っている
さて
確かめるか それも億劫だ
そして確かめて もし何かが居たらどうする
いやいや
部屋の中にも何か居はしまいか
床の間の金庫の向こうから手がのびてきたような
かぶっている布団の上からふきかけられる息が・・・あるような
一体 何だ この部屋はー なんなのだ
たまらず起き上がる
居た! 黒い影がぞろぞろ ゾロゾロ
床から黒い水が湧き出るように 増えていく
「な・・ん・・・」やっと声が出た
しかし「なんなのだ」の五文字が言い切れぬ
だがーそれらには通じたようだ
人の顔ならば口と思しき場所が裂けたように開いて 笑ったような形を作った
「お化け屋敷だよ」
それはちゃんと答えた
他の影も繰り返す オバケヤシキダヨ ・・・ダヨ ・・・ダヨ
朝までもちこたえられたら
枕元に置いた携帯を手に取る
指でなぞる 時間を確認しようと
「アウト」「時間切れだよ」・・・ダヨ ・・・ダヨ
布団が沈む 床の下へ 引き込まれる 引き込まれてー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
離れの座敷を担当する仲居は首を傾げる
そして宿の女将に伝えた
「また お客さんが布団ごと居なくなりました」
この宿では よくあることのようだ
ならば 考えなければいい 何が原因か・・・などとはー
目を閉じて眠れ 眠ってしまえ ただ眠れ
そうすれば 朝がやってくる
みしみしと 何かが歩いている・・・ そんな気がする・・・
いや 気のせいだ
板の間のすりガラスから 向こうから 何かが 覗いてはいまいか
あれは・・・目ではないのか
ほら 黒目が動く
こちらの様子を窺っている
さて
確かめるか それも億劫だ
そして確かめて もし何かが居たらどうする
いやいや
部屋の中にも何か居はしまいか
床の間の金庫の向こうから手がのびてきたような
かぶっている布団の上からふきかけられる息が・・・あるような
一体 何だ この部屋はー なんなのだ
たまらず起き上がる
居た! 黒い影がぞろぞろ ゾロゾロ
床から黒い水が湧き出るように 増えていく
「な・・ん・・・」やっと声が出た
しかし「なんなのだ」の五文字が言い切れぬ
だがーそれらには通じたようだ
人の顔ならば口と思しき場所が裂けたように開いて 笑ったような形を作った
「お化け屋敷だよ」
それはちゃんと答えた
他の影も繰り返す オバケヤシキダヨ ・・・ダヨ ・・・ダヨ
朝までもちこたえられたら
枕元に置いた携帯を手に取る
指でなぞる 時間を確認しようと
「アウト」「時間切れだよ」・・・ダヨ ・・・ダヨ
布団が沈む 床の下へ 引き込まれる 引き込まれてー
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離れの座敷を担当する仲居は首を傾げる
そして宿の女将に伝えた
「また お客さんが布団ごと居なくなりました」
この宿では よくあることのようだ