ゼロの迎撃 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) | |
安生 正 | |
宝島社 |
「生存者ゼロ」にて鮮烈なデビューを飾った著者の力の入った作品
平壌防御司令部のハン大佐は妻子を人質にとられた形で 東京壊滅作戦の指揮をとる
ハン大佐の両親は日本への亡命を企てるも日本の大使館が受け入れなかったために銃殺された
ハン大佐も拷問され 現在も妻と娘も収監されている
日本への報復の思いもハン大佐にはあったろうか
台風の荒れる海の中 ハン大佐は部下を率いて日本へ上陸する
一方自衛隊統合情報部所属の情報官である真下は 手術を控えた妻の病室で付き添っていたが 呼び出される
非常事態発生だった
ハン大佐の作戦が読み切れず 真下の出した指示で SATが全滅した
ことあるごとに真下の足をひっぱろうと妨害ばかりの影山審議官
その横槍で逆に及び腰だった岐部三尉は覚悟が決まり 終盤はややいい加減であった物語前半とは人が違ったような決死の戦いぶりを見せる
戦闘員として真下のチームに加わった高城和久三曹の壮烈な死
真下を支え続けた寺沢陸曹長の死
遂にハン大佐と対決する真下
ハン大佐の作戦
手痛く裏切られるハン大佐
ハン大佐は妻子の救出を信頼できる人間達に任せていたが その作戦は漏れており作戦は失敗する
多くの犠牲を出して守られた首都
だがーあらたなる脅威が日本に近づいていた
真下の意見をいれる首相の梶塚の覚悟
絵空事ではない物語だと思う
その時 日本に真下が寺沢が 高城が岐部が そして首相の地位に梶塚のような人間が存在してくれているだろうか