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サンとドギムの間には、男の子が産まれました。
その子が世子となり、次の子も懐妊し、幸せの絶頂かと思われるとき、なんと、世子が急死
麻疹だったのかな
サンは、気丈に振舞いました。
「子に先立たれた悲しみは言い尽くせない。しかし、我が子は世子だけではない。朝鮮の民、全てが余の子だ。」
と、言いました。
この時期、どうも同じ病で多くの子供が死んだようです。
1人でも多くの子を救うために、手立てを探せと、重臣たちに発破をかけました。
しかし、ドギムは悲しみのあまり、床に就いたままでした。
食事もとらず、臥せったままのドギムを、サンは怒りました。
「子を失ったのは、そなただけではない。これが、その事態を知っている者の行動かそなたの衣食住に関わるモノは民からの税で賄っているのだ。民の血と汗で暮らして居る。そなたは世子の母で王の子を宿した最高位の嬪だ。悲しくとも、毅然とした姿を見せよ。それがそなたの義務だ。」
ドギムは、ゆっくりと起き上がりました。
「望んではいませんでした。望んでいないものを得て、黙って耐えろと?我が子を失ったのに、悲しむことも許されぬと?」
と冷たく言うドギム。
憎しみが目にこもっているように見えました。
サンは、言いました。我らの子は世子だけではないと。
これは、民もそうだと言う意味ではなく、ドギムのお腹の子のことでした。
お腹の子を守れるのは、ドギムしかいないのだからと言う意味でした。
しかし、サンだって人間。人の親です。
王としての立場上、凛とした態度をとらなくてはいけませんが、本当はドギムと共に、手を取り合って泣きたかったでしょう。
世子が産まれた時、どれほど嬉しく、幸せだったかを思い出すと、悲しみが一気にサンを襲いました。
しばらく一人にしてくれ・・・と世子の部屋に入ると、一人で泣きました。
やっと泣くことが出来ました。
ドギムを更なる悲しみが襲いました。
なんと、ヨンヒが流産したことで、妊娠がばれ、投獄されてしまったのです。
ドギムとの関係を承知しているサンは、この一件を周囲に口止めしました。
ドギムの精神状態を考えると、とても知らせる事は出来なかったのです。
でも、ヨンヒが現れない事に不審を抱いたドギムがギョンヒとボギョンを問い詰め、知る事になってしまいました。
ドギムは反対を押し切って、牢のヨンヒに会いに行きました。
自分の事しか考えていなかった・・・とドギムは泣いてヨンヒに謝りました。
ヨンヒは、自分が選んだことだと、ドギムに言いました。
ドギムが謝ることではないと。
「皆が悲しむと分かっていたけど、望み通りに生きてみたかった。夢見る事すら許されない幸せも味わいました。その代価が死だとしても、構いません。」
ヨンヒを失いたくないと、泣いてドギムは縋りました。
しかし、ヨンヒはドギムの手を押し返しました。
ドギムは、サンに言いました。隠し通すおつもりだったのですか?・・・と。
それがドギムにとっては、最善だとサンは判断したのです。
ヨンヒを救う手立てはありません。
国の法は、万民に等しく適用しなくてはならないと、サンは考えています。
「それが王の仕事だ。」
ドギムはサンを分かっています。決して例外を認める様な王ではないと。
だから、救ってほしいとは言いませんでした。
「私の望みは、ただ・・・。」
その後、何と言おうとしたのでしょう。
「独りになることです。」
と、間をおいて言いましたが、ドギムが言いたかったことはそれじゃないと思うんですけど。
サンから目を逸らしたままのドギム。
世子とヨンヒの死は、ドギムの心まで壊してしまった気がします。
時間が経ち、穏やかな日々が戻って来たように見えます。
ドギムはやっとサンの悲しみに向き合う事が出来るようになりました。
王であるサンには、怒りや悲しみ、恨みをぶつけても良いと思ってしまっていました。
でも、サンは王であるのと同時に、夫であり、父親なのです。
自分と同じように、いえ、王であるがゆえに、更に辛かっただろうと思えました。
「余は大丈夫だ。耐えられる。耐えねばならぬ。」
と、サンは言いました。
そして、恨んでいないか?と尋ねました。ヨンヒを救わなかったことです。
「王様がどのような方かは、最初から存じておりました。どうにもできない程に王でおられると。」
ドギムは少し微笑みながら、言いました。
花はまた咲きます、王様と一緒に愛でたいです・・・と。
大妃の兄が流刑地で亡くなったとの知らせが入りました。
喪服を着る事も出来ず、弔う事もできないことを、大妃は悔しがりました。
妃として一旦王宮に入った者は、一生をその中で過ごすしか出来ません。宮女も同様です。
いったい誰が閉じ込めたのか、誰が門を固く閉ざし、一歩も出られないようにしたのか・・・と大妃は悔しがりました。
「王宮は誠に華やかな牢獄だ。」
サンが風邪をこじらせてしまいました。
ドギムは傍に付き添いました。
しかし、この時、ドギムの方が発熱していたのです。
大丈夫です・・・とドギムは狼狽するサンに言いました。
「王様は強いお方です。だから、心配ないでしょう。」
それだけ言うと、ドギムは意識を失って倒れてしまいました。
サンは、枕元で不安におののきながらドギムの手を取っていました。
しかし、王であるサンが政務をほったらかしにしておくことは出来ません。
便殿に戻らなければいけませんでした。
意識が戻りました。
傍に居たソ尚宮に、ドギムが言いました。
ソ尚宮は心の強い人です。だから、大丈夫です・・・と。
サンを呼ぶと言うソ尚宮を、ドギムは止めました。ギョンヒとボギョンを呼んでくれと言いました。
駆けだしたソ尚宮は、思い直して、サンを呼びに行きました。
それを知ったドギムは、時間が無いから、早くギョンヒたちを・・・とソ尚宮に命じました。
サンは愕然としました。
命の火が消えようとするとき、夫である自分ではなく、友を呼べと言うドギムの気持ちが一瞬分からなかったのでしょう。
そうですよねぇ。
「王様は大丈夫でしょう。守るモノがたくさんありますから。王様は守るべきものから逆に守ってもらえます。私の友には、私しかいないのに、置いて行くのが申し訳ないのです。」
余が悪かった・・・とサン。
ドギムを宮女のままにしておけば、こんなことにはならなかった・・・と。
本当に私をお慈しみに?と、ドギム。
「だったら、来世では私をお見掛けになっても、そのまま通り過ぎてくださいませ。恨んではおりません。憎んでもいません。ただ来世では望み通りに生きたいのです。」
そなたは余を少しも恋慕わなかったのか?心を許さなかったのか?と、サン。
狼狽えながら泣きながらサンが問いかけました。
「まだ分かりませんか?誠に気持ちが無ければ何としても遠くへ逃げていた筈です。結局、おそばにとどまることにしたのは、私の意思だったと分かりませんか?」
そっとサンの顔に触れようと差し出した手が落ちました。
ドギムと、何度も何度も名前を呼びながら、サンは泣きました。
余を置いて行くなと。
泣けた~っ ホント、泣けた~っ
その後、サンは新たな側室を迎えることになります。
ソ尚宮が言いました。
サンが唯一心から愛し、自ら選んだ女人が、ドギムだった・・・と。
新しい側室は、ドギムとは全く似ていない人が選ばれたそうです。
ソ尚宮は、なんだか、嬉しかったとカン・テホに言いました。そして、頼みました。
「どうか、王様が寂しくなったり、一人になったりせぬよう、お守りください。」
カン・テホは頷きました。
サンは、何を見ても、ドギムの思い出につながりました。
死んだように時を過ごしました。
しかし、ある時、立ち上がったのです。
ドギムを忘れる決心をしました。
もう振り返らないと。忘れたフリだと思われても良いから。これまでのように、この先も生きて行くと。
その言葉通り、サンはドギムのことを一切口にしなくなり、忘れて生きていきました。
そうして長い時間が過ぎました。
ある時、ドギムの甥・・・兄の息子が武官になっている事を知り、久しぶりに屋敷に行きました。
そこは、サンの命令で、ドギム在りし頃のままになっていました。
ドギムとの思い出が一気に蘇りました。
誰かと、ドギムのことを語り合いたかったのでしょうか。ドギムや遺品の事を知ってる者を探させました。
そして、現れたのは、ギョンヒ。
その時ギョンヒは宮女の長、ぺ尚宮となっていました。
サンは、ギョンヒを見て思い出しました。最後までドギムが会いたがっていた友の一人だと。
ボギョンは前年に病で亡くなっていました。
お前も一人になったのかとサンが言うと、違いますとギョンヒが言いました。
ドギムたちと、約束していました。必ず再会しようと。
「だから、友は私を待っている筈です。宜嬪様も・・・。」
その言葉に、サンは激怒しました。
「宜嬪は私の側室だ時が経とうと余のものだ他の者には渡さぬ」
お忘れかと思っていました・・・と、ほっとしたようにギョンヒが言いました。
「遺品は、世子様が過ごされた東宮にあります。すぐにお持ちします。」
ドギムが最期に言ったのは、来世では出会っても声をかけるなと言う事だと、サンはギョンヒに言いました。
「それは宜嬪様のせめてもの強がりです。」
と、ギョンヒが言いました。
強がりでもしなければ、耐えられぬと申しておりました・・・と。
「ご存じでしょうか。宜嬪様もまた心から王様を・・・。」
黙れと、サンが言葉を遮りました。
ギョンヒの口からドギムの本心を聞きたくなかったのです。ドギム本人から聞きたかったのです。
ギョンヒが保管してあったドギムの遺品。
出会った頃に、ドギムが筆写していた本。手作りの匂い袋。ドギムが何度も書き直した反省文。サンが入れた赤線が入ったモノです。
次々に出てくるドギムとの思い出。
箱の一番底には、ドギムが来ていた宮女の服が入っていました。
小さい服でした。
こんなに小さかったのか・・・とサンは泣きました。
「イ・サン」のラストで、イ・ソジンssi演じる正祖が背中を丸めて1人政務に当たっている姿がえがかれていたのを思い出しました。
王はやはり孤独なんだと感じたラストでした。
この作品でも、サンの孤独がひしひしと感じられました。
サンほど民の事を大事にする聖君はいないと、重臣から言われて、苦笑するサン。
「王様を主君として戴けて光栄です。」
常日頃、サンの政策に反対ばかりしていた重臣の言葉だけに、ちょっと意外でもあったでしょうが、それゆえ、嬉しくもあったでしょう。
この言葉を掛けられた後、夜遅く一人王宮を歩くサン。警護の兵はいるけど、サンに付き従う内官はいません。たった一人、広い王宮に立つサン。
その姿がとても孤独に見えました。
サンはもしかしたら、予知能力があったの
ドンノの将来の姿も見えていたし、ドギムの死、そして自らの死の瞬間も見ていた
だから、政策においても、現代に通じる策を実行しようとしたの
幸せのさなかに、近い将来経験するドギムの死を知ったサン。
今、話しておかないと話せなくなるかもしれないと思ったのかもしれません。
将来、歳をとった時、今この時を大切に思うのは、単に美化していたのではなく、ドギムをただひたすらに愛していたからだと。
「時間が無い。余を愛せ。頼む。余を愛してくれ。」
イ・サンの時代は、様々な作品で描かれています。
この作品は、宮女の立場を描くということで、少し焦点が違っていましたね。
右へ倣えが良しとされる時代に、宮女であっても一人の人間としての自由を追い求めたドギムの考え方が新鮮でした。
お勧めですね