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「お前が殺したかどうかに興味は無い。俺が知ってるのは、ここにいるお前だけだ。」
と、ト・ジテは答えました。
ある日、ヒョンスは、暴力団員の収監者べクホに呼び出されました。
先日痛め付けたドゥシクは、べクホの手下だったのです。ドゥシクが泣きついたってことです。
べクホは、ヒョンスが拘置所に入って間がない頃、シャンプーをくれたりして世話を焼いてくれたことがあります。まんざら怖いだけの人物じゃありません。
しかし、手下を痛め付けられて黙っているわけにはいかず、落とし前を付けろと言いました。
指を落とせと言いましたよ
ヒョンスは、覚悟を決めて、手を差し出しました。
べクホがナイフを振り上げたその時、ト・ジテがやって来ました。
ト・ジテによって、その場は収まりました。
収まりの付かないのは、ドゥシク。
ト・ジテにもべクホにも見放されてしまったのですから。
シン弁護士が次に呼んだ証人は、グクファの義父。
義父は、グクファの死後すぐにすべての財産を自分のモノとし、豪邸も売りに出しました。
財産狙いで義娘を殺した疑いをもたれても不思議じゃありません。
しかし、アリバイがありました。恋人と一緒だったのです。
またも、シン弁護士は空振りに終わってしまいました。
その次に呼んだのは、事件の目撃者スンフン。
現場にいた理由も、ヒョンスとグクファを目撃した後自宅に戻るまでの1時間超の空白時間の説明も出来ませんでした。
しかし、自分が犯人とされる可能性があると気付くと、口を開きました。
なんと、スンフンはグクファではなく、同居人のヒョジョンのストーカーだったのです。
思いもよらない事実に、シン弁護士は言葉が出なくなってしまいました。
上手く進まない裁判に、ヒョンスは悶々としていました。
以前に比べて、性根が座り、動揺したりはしなくなりましたが、失望感は重さを増し、希望は少なくなっていきました。
シン弁護士は、最後の証人として、パクチーム長を指名しました。
証拠が揃っていたので、ヒョンスしか容疑者は考えられなかったとパクチーム長は言いました。
ヒョジョンをはじめとした数名の疑わしい人物がいたにもかかわらず、捜査もしなかったのはおかしいとシン弁護士が指摘すると、刑事は、証拠だけで判断するとパクチーム長は言いました。怯むことはありません。
そこで、シン弁護士は証拠について質問しました。
あの吸入器のことです。
現場写真には、ヒョンスが落とした吸入器が写っていたのに、証拠目録には無かったのです。
パクチーム長が、現場から拾い、留置所にいたヒョンスに自ら手渡していましたからね。
パクチーム長は、ヒョンスが苦しんでいたし、事件には関係無いと判断したと弁明。
「違いますね。被告人は、チーム長から見て、強姦犯らしくなかったんです。だから、現場に似つかわしくない吸入器を持ち出した。これは、明白な違法行為であり、弾劾事由に該当します。チーム長は最初から被告人を犯人にしようと特定していました。不自然な状況から目を背け、必要な証拠だけを信じたのです。」
シン弁護士は、吸入器だけじゃなく、他にも操作された証拠があるかもしれないと陪審員に訴えました。
アン検事が論告をしました。
証拠に関する警察のミスも、他に容疑者がいた事も認めました。
しかし、その他の全ての証拠はヒョンスが犯人であることを示していると訴えました。
そして、死刑を求刑したのです。
法廷がざわつきました。
シン弁護士は思わずペンを折ってしまいました。ヒョンスの両親は泣き崩れ、ヒョンス自身は、恨みのこもった目でアン検事を睨みました。
判決を翌日に控えた日。
ト・ジテは、もうここに戻ってくるなとヒョンスに言い、餞別を渡しました。
携帯でした。
そして当日。
シン弁護士のアトピーは、ストレスで最悪の状態になっていました。
顔は腫れあがり、瞼もふさがりそうな状態です。全身に赤い発疹が出来、薬も効きません。
それでも、シン弁護士は法廷に立ちました。
陪審員に必死にヒョンスの無実を訴えました。
一目見た瞬間、ヒョンスは無実だと感じたと。
勿論、あの夜、ヒョンスが犯した飲酒運転や証拠隠滅等の罪はありますが、それ以外には無いと言いました。
殺人を犯した明白な証拠はどこにも無いと。
杜撰な警察の捜査によって、被告人は全てを失ってしまった・・・と。
シン弁護士が振り返ると、ヒョンスが真っ直ぐに彼を見つめていました。
陪審員の審判は、5対4で無罪。
ここで、裁判長が最後に何か言う事はあるかと、ヒョンスに問いました。
今も僕が犯人だと思いますか?・・・とヒョンスは裁判長を見ながら言いました。
「グクファには申し訳ないと思っています。だからと言って、僕が犯人ですか?僕にはわかりません。」
裁判長が下した判決は、なんと、無期懲役。
検察の主張をほぼ認めた結果でした。
信じられないと言う表情のヒョンス。
この表情が本当に上手い
悔しさ、絶望、苛立ち、悲しみと言った様々な感情が入り乱れ、苦笑にも似た表情が浮かんだりもしました。
シン弁護士とソ弁護士はショックを受け、母親は泣き崩れ、父親は呆然としました。
ヒョンスは、また、拘置所に戻りました。
両親は、控訴すると言いました。
しかし、ヒョンスはそれについては何も答えず、もう面会に来ないでくれと言っただけでした。
ヒョンスはもう気力を失いつつありました。自棄になりそうでした。
ト・ジテから勧められても、断っていた麻薬にも、とうとう手を付けてしまいました。
この一件で、アン検事は昇進。パクチーム長は、栄誉退職となりました。
ある日、突然、ト・ジテが死にました。
ドゥシクに殺されてしまったのです。ヒョンスの目の前で。
ト・ジテが最期に残した言葉は、
「耐えろ。耐え続ければ、いい方向に転がる事もある。最後まで耐えれば、俺みたいにならない。」
でした。
シン弁護士は、まだ諦めていませんでした。
1人で調査を続け、真犯人を突き止めました。
グクファに麻薬を処方していた医師でした。
それを公にして、警察と検察の面目を失墜させるのかと思いきや。
証拠を揃えて、退職したパクチーム長に差し出したのです。それをどう使うかは、パクチーム長に任せたのです。
もう遅いと、一度はパクチーム長は言いました。
しかし、身内と同じようによその子も大事にしないとな・・・とシン弁護士に言われました。
「無実の人間を拘置所に入れて心が痛まないのか。」
と。
パクチーム長は、アン検事に提出しました。
そして、アン検事は、記者会見を開き、真犯人を逮捕したと告げました。
なんと、ヒョンスが有罪となった後も、疑念を感じていたので、捜査を密かに続けていた・・・なんて言いましたよ
そして、とうとう、真犯人を捕まえることができた・・・なんてね
シン弁護士から、真犯人が捕まったと聞いた瞬間、ヒョンスは凍り付いたようになりました。
泣く事もせず、喜ぶこともしませんでした。
「三流弁護士に出会ったのが不運だったな。済まなかった。」
と、シン弁護士は言いました。今までよく耐えた・・・と。
「お世話になりました。」
と、ヒョンスがシン弁護士に言いました。ようやくその一言を絞りだしたと言う感じです。
ヒョンスは無罪放免となりました。
家に戻り、以前と変わらない生活が始まりました。
父親は、ト・ジテが手を回してくれたおかげで、取り戻すことができたタクシーで仕事をしていました。
家も売らずに済んだようだし、ヒョンスの部屋も以前のままでした。
でも、ヒョンスは変わっていました。
もう、明るく素直で無邪気な普通の大学生には戻れません。
事件を通して、シン弁護士とヒョンスは一時、時間を共有しました。
しかし、もう既に歩む道は違っています。
それぞれの人生を歩き始めたのです。
韓国ドラマにしては、短い作品でしたが、盛沢山な内容で、満足しました。
やはり、改めて、キム・スヒョンssiとチャ・スンウォンssiの演技は凄いなと思いました。
見るたびに違う役どころを、全く違う表情をみせてくれます。
お勧めです