レビュー一覧は、こちらから。
雪深い荒野を、イ・フィ=ユン・シユンssiがギトゥクとルシゲと共に必死に都を目指して歩いているシーンから始まりました。
3人とも、最低限の武器を持っただけで、顔も服装も汚れきっています。
そしてようやく都にたどり着き、王宮の前まで来たのですが、門番はフィをウンソン大君だとは思えず、無理やり王宮殿に入ろうとする怪しい輩ということで、捕まえようとするのです。元々、ウンソン大君は戦いで戦死したとされていたんです。
でも、彼らには敵わず。
その時、一人の女官がこっそりと門を出て行くのを見たフィは、門番たちを振り払って女官の後をつけたのです。
時の王は、重病の床にありました。意識も無いようです。
でも、母の大妃シム氏は、それをひた隠しにしています。王妃にもかん口令を敷くよう命じていました。
ところが、尚宮の一人が、密かにその情報をチニャン大君イ・ガンの元に届けさせたってわけ。
王には幼い息子しかいないようです。
だから、後継者の座を狙っているイ・ガンは、情報を集めようとしているのです。
王の余命がわずかだと知ったイ・ガンは、なんとしても王の遺言を自分が聞き届けなくてはと思いました。
死ぬその瞬間に傍にいる事が大事なんでしょうね。遺言と言っても、瀕死の王が何か言い残すなんてことは無理かもしれませんから。
どーとでも言えるってことでしょう。
イ・ガンの元に手紙を届けた帰りの女官を、イ・フィたちが捕えました。
で、ルシゲを女官に成り済まさせて、王宮殿にいる母大妃シム氏に自分の生還を知らせようと考えたのです。
ルシゲは、あっさりと任務を果たしました。
シム氏は、倒れるほどに驚きました。
目の前に立っているのが、死んだ筈の我が子だなんて、信じられないと言う表情です。
でも、汚れきった息子を抱きしめて喜びの涙を流したのです。
イ・ガンの元を、ソン・ジャヒョン=チン・セヨンさんが訪ねて来ました。
王族のウォルリョン君との縁談を断りたいと言って来たのです。
ウォルリョン君と言うのは、イ・ガンの従兄弟で親しい間柄なんだそうです。だから、イ・ガンから断ってほしいと頼みに来たのです。
が、イ・ガンはそれが嫌なら、自分の側室はどうかと言いました。
元々、側室に・・・という話があったようですね。それを断ったら、この縁談を持ってきたという事なんです。
でも、ジャヒョンは誰とも結婚する気はありません。
イ・フィが死んだと言われても、その気持ちは変わりません。
ジャヒョンは、フィを死地に追いやったのはイ・ガンだと察しています。だから、敵を見る目です。
イ・ガンの妻ナギョムも、何故かジャヒョンに対して憎しみを抱いているようです。以前は友人だったようですが・・・。おそらく、夫の気持ちがジャヒョンにあると知っているからでしょうね。
その夜、大臣たちを伴って無理やり王宮殿に行ったイ・ガン。
王の寝所近くで、止められてしまい、内官と押し問答をしていたら、部屋の中から、女官たちの泣き声が。
王が亡くなったのです。
「誰が顧命(遺言)を承ったのですか?」
と、焦ってイ・ガンが大妃シム氏に聞きました。
「ご心配なく。」
そう言って現れたのは、イ・フィ。
「私が承りました。“世子様が成年になるまで大妃が摂政を務める事。大君らは世子に忠誠を尽くせ”。これがご遺言です。」
イ・ガンも、大臣たちも凍りついたように何も言えなくなりました。
イ・フィはそっとイ・ガンを抱きしめました。
「ただ今戻りました。生き伸びて帰って来ました。」
翌日、葬儀の準備をしている時、イ・ガンがジャヒョンの縁談の事を話しました。
葬儀の衣服のまま、イ・フィは馬を駆ってジャヒョンの家に駆け付けました。
死んだと思っていたイ・フィの突然の出現に、ジャヒョンの両親は驚きました。
会わせられないと父は言いました。既に縁談が決まっているからと。
でも、イ・フィは、無理に屋敷の奥に歩いて行きました。ジャヒョンの名前を叫びながら。
その時、ジャヒョンは髪を自らの手で切ってしまっていました。仏門に入ろうとしていたのです。
その姿に驚いたジャヒョンの母は、慌ててイ・フィの生還を知らせたのです。
でも、すぐには信じられないジャヒョン。
その時、外から、自分を呼ぶ声が。
イ・フィの姿を見たジャヒョンは、裸足で駆けおり、抱きつきました。
イ・フィも、ジャヒョンの姿を見て、涙を流しながら両手を広げたのです。
固く抱きしめ合う二人。
ここに至るまでの出来事が気になります。
時間は過去に戻りました。
イ・ガンは、王の二男でありながら、幼い頃より王宮殿から出され、両親ともなかなか会えない生活をしていました。
王子でありながら、こんな生活・・・と、イ・ガンは何度も宮中に移りたいと願いを伝えるのですが、そのたびに大妃から止められていました。
実は、朝鮮王朝では長男が後継者と決められているにもかかわらず、実際に長男が後を継いだことはわずかのようです。
だから、長男の世子のためにも、傍に次の王子がいない方が良いと大妃シム氏は考えたのです。
ま~・・・迷信と言ってしまえばそーですが。
当時はそういう言い伝えや占いなんぞに左右されていたんでしょうね。
無理やり王宮にやってきたものの、門番は立ちふさがり、イ・ガンが王子と言えど命令に従おうとはしません。それくらい大妃の命令が行き届いていたってわけです。
押し問答の最中、王宮からイ・フィが来ました。
彼はずっと王宮で暮らして来たのです。
イ・フィの取りなしで、イ・ガンはやっと母大妃に会う事が出来ました。
でも、その扱いは明らかによそよそしいもので。イ・フィに対する目と自分に向けられる目とでは格段に愛情の差があると感じてしまいました。
それでも、とにかくその時からイ・ガンは宮中に住まう事となったのです。
大妃シム氏は、その所為で世子の体調が思わしく無くなったと考えています。
世子は、イ・ガンとイ・フィの兄です。
やはり卑屈な性格に育ってしまいますわな、そんな環境じゃ。
彼の責任じゃないですもん。
そんなイ・ガンの唯一の味方がヤンアン大君。父王の兄に当たります。
ヤンアン大君も長子でありながら、王座を弟に譲った経緯がありました。だから、弟である王が長子の世子のために次子を排除しようとするなんて・・・と反感を持っているのです。
王の器を持っているのは、イ・フィではなく、イ・ガンだと言ってガンの信頼を得ました。
イ・ガンは、下働きの侍女からも好かれているイ・フィが羨ましくてたまりません。
ある日、イ・フィを慕う侍女を無理やり自分付きにしようとしました。
でも、当の侍女がそれを拒んだのです。
怒ったイ・ガンは、侍女を池に突き落としました。
その瞬間、我にかえって自分のしでかした事に慌てたイ・ガンは、そのまま行ってしまおうとしました。
ところが、その時、二人の争う様子を見たギトゥクから知らせを聞いたイ・フィが駆け付けたのです。
慌てて飛び込んで助けあげましたが、既に侍女は亡くなっていました。
イ・フィは流石にイ・ガンに対して怒りました。
イ・ガンも、フィに対しては、強気に出ましたが、内心はびくびくもんでした。この事が大妃に知られたら、また宮殿から出されてしまうのではないか・・・と。
で、ヤンアン大君に泣きついたのです。
ヤンアン大君にかかったら、まだ幼いイ・フィなど容易いもんです。
目撃者であるギトゥクの命が危ないと脅したら、もう口をつぐむしかなかったのです。
私の傍を離れるな・・・とイ・フィはギトゥクに言いました。
「私にはまだ力が無い。今はお前を守る事だけで精いっぱいだ。お前も私も強くなってこそ互いを守れる。」
幼いイ・フィはそう言いました。
そうやって、フィとギトゥクは一緒に生きて来たのです。