宇宙・生命・日本 1000年後のあなたに語りかけたい

巨大ブラックホールの衝突が新宇宙を形成⇒循環宇宙論、有機物質から人間への進化メカニズム(循環論理の評価)⇒戦略的進化論

TPPはアメリカの仲間作り

2011年10月28日 15時37分33秒 | 思考空間

 アメリカは第二次世界大戦後、最も輝かしい時代を迎える。敗戦国はもとより、ヨーロッパが痛み、主要国の中では唯一、戦場として荒らされなかった国土を有していた。ソビエトや中国など共産国の台頭は有ったものの、アメリカを脅かすほどではなかった。生産力を増し、車をはじめとした物質文化を極め、華やかで自信にあふれ、夢と希望に満ちた時代だ。

 アメリカは強大な軍事力をバックに、CIAほかの諜報機関を駆使し、常に世界を相手に戦略的な行動を展開した。ヨーロッパにもアジアにも基地を持ち、必要あれば原子力空母を差し向けた。世界のポリスとして目を光らせた。一方で中東など資源を常に優位に獲得し、反対勢力を抑え、自国の都合の良い、どちらかというと独裁性の強い政権を支持してきた。

 1990年代には、盗聴システム・エシュロンで共同運用していたイギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダの旧英連邦と共に、獲得情報をビジネスに活用し、アメリカだけでなく旧英連邦は1990年代に大繁栄を迎える。

 この時、最も餌食となったのは日本の商社で、かつて世界に展開していた商社の活動がエシュロンで筒抜けとなった。とりわけ、賄賂性の多いビジネスの弱点を突かれ、悉く、旧英連邦チームのビジネスにシフトされてしまった。日本の商社の旗は世界中に翻り、豊富な情報も商社経由で日本にもたらされていたのが急速にしぼんだ。商社は泣き寝入りするしかなかった。

 日本は商社が誇っていた、世界向けの強力な営業艦隊と、情報収集機能を失っていった。以降、商社に頼っていた日本メーカーは自ら世界に出て営業することになった。

 アメリカの戦略は当初、多くが成功していたが、ベトナム戦争で敗北を喫し、大いにプライドが傷つけられる。 アメリカが支持してきた独裁性の濃い国々の政権が倒れ、反米となってゆく。特に南米と言う自らの裏庭でチャベスのベネズエラに代表される反米国家が出現する。

 ベトナムで懲りたはずのアメリカだったが、自らの血を流す戦いに向かい始めた。そこで、9.11事件は格好のトリガーとなり、アフガニスタン侵攻に次ぐ、イラク戦争になだれ込んだ。これらの暴走気味の戦いではとりわけ友好国の国民から批判を浴び孤立感を深めた。

 片や、アメリカを生んだ母なるヨーロッパ諸国は、ドイツとフランスが中心となりヨーロッパ統一を目指している。人類史上最大の試みで、先行き不透明だったが、統一通貨ユーロを発行し、前進している。この度のギリシャ危機なども結束し、アップダウンしながら課題を解決してゆくのではないか。このヨーロッパ統一の一つの目的はドルからの独立である。

 結局のところ、アメリカが戦後にやってきたことで最もうまくいったのは日本に関してであった。アメリカから見ると日本人のメンタリティーは理解しがたいものの、上手に指導管理すると従順で能力が高く、規則正しく実行されて行く。

 アメリカにとって、ここのところの、看破できないゆゆしき事態は中国の軍事強化であろう。経済的な協力関係はより密接になって行かざるを得ないが、そのことがますます中国をして経済を巨大化させ、その経済力を持ってアメリカを脅かす軍事力を持つに至ることは明白だ。

 見えないふりをしていたアメリカも、南シナ海や尖閣諸島の問題が顕在化するにつけて、中国が軍事力をバックに、自国の利益をなりふり構わず実現しようとすることに気づいた。しかし、それはかつてのアメリカの姿であった。中国は、アメリカと日本の戦後を詳しく分析し、中国が世界制覇するための戦略を練ってきた。

 TPPは、アメリカが世界から孤立しつつある立場で、しかも、軍事と経済で将来に凌駕しようとしている中国の存在が膨張する中、仲間作りの輪を広げようとする試みでもある。併せてこのTPPで復活の芽を探りたい。その要素が十分有ると見る。

 私はかつて、菅首相にTPP解散を提案した。本人が読んだかどうかは不明。もし実行されたら、十分選挙で勝てたし、民主党内の反対勢力を駆逐できたはずだ。しかし、実行されなかった。

 TPPはアメリカの戦略の罠にはまりこむ可能性もありながら、同じ輪の中で、話し合い、協力関係を保つことは、特に、国家ビジョンも国家戦略も、発展性につながる何も持ち合わせていない日本にとって、願ってもない魅力的なプロジェクトである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする