子どもがどんどん減っている。
数日前には、かつて保育園関係者だった方と会って聞いた話だが、数年前には学年に30人はいた子どもが、今は5,6人になってしまったのだそうだ。
急激な子どもの減少のために、その保育園も今春閉園になってしまったのだと。
子どもが減るということは、人間が減るということ。
大人になって、社会を支える人が減る。
少子化は深刻だ。
少子化が進むせいで、学校統合が進み、どんどん学校が減っていっている。
このたび、学校が開学してから100数十年たつ学校なのに、来年3月で閉校となる、ある小学校の校長先生と会って話を聞く機会があった。
今年で最後だから、何をやっても「〇〇小学校最後の……」になる。
先月は、「〇〇小学校最後の運動会」が行われた。
最近は、感染症禍もあったから、運動会を短縮して午前だけの実施で終わる学校が多い。
でも、ここの小学校では最後の運動会だから、盛大にやりたいと考えて、地域の方々と相談し、午前だけでなく1日日程でやる運動会にした。
出場するのも、小学生だけでなく、卒業生である中学生や、50歳代の方々も出場し、地域総出で1日運動会を楽しむことができた。
午後の部をやるためには、昼食時間が必要になる。
最近の小学校では、昼食は教室に戻って、学級の子どもたち同士で食べるのが一般的だ。
なぜ昔のように家の人と一緒に食べないのかというと、休みの日でも働いている親がいて、運動会だからといって休めない親もいる。
そういう親の子どもたちは、ほかの子たちと違ってさびしく昼食を食べることになってしまう。
だから、家族と離れて教室に戻って子どもたちだけで食べるようにしている。
だが、今回、保護者や地域の方々の意見は違っていた。
その願いは、
「ここの小学校最後の運動会だ。だから、思い出に残るように、昼食は教室には戻らずに校庭などで家族で一緒に食べるようにしたい。」
ということ。そして、きっぱりと言われた。
「確かに親が参加できない子もいる。だけど、そういう子は地域で面倒を見る。決してさびしい思いはさせないよ。」
その意見に同調する方が多くて、昼食は家族で一緒にした。
運動会当日、昼食に関して、特に困る子も出ず、保護者から不満の声が上がることもなく、みんな笑顔で昼を過ごせてよかった。
地域と学校とが一緒になって盛り上がって終わった運動会。
最後には、地域の方々が慰労会をやっているところに、職員も呼ばれて、一緒に祝杯(?)をあげた。
1日日程、地域総出、昼食は家族一緒、地域・職員一緒の慰労会、…。
これらの話には、地域あっての学校、学校あっての地域だなあということを実感する。
地域にはまだ教育力が残っている。
それなのに、そういう地域から学校がなくなっていく。
少子化はゆゆしき問題だと思うのだが、手の打ちようがないのが現実だ。
日本はどうなってしまうのだろう?
今日は、あらためてそんなことを思った日だった。