これ、子ども向けにいい本だな、そう思った。
その本の名前を「こども六法」という。
著者の山崎聡一郎氏は、いじめや虐待に悩む子どもたちが「法律を知ることで自分を強くする」ことができるようにと願い、この本を作ったといっている。
著者自身が、小学校の高学年でひどいいじめにあい悩んでいた時、授業で「日本国憲法」に「人権」というものがあると知ったという。
その後、中学の図書館で読んだ六法全書の「刑法」を読み、「もっと前から知っておきたかった。知らないから自分で自分を守れなかった」と後悔したのだそうだ。
前書きでは、子どもたち向けにこう書いている。
この本では、たくさんある法律の中で、子どもたちにも関係のある法律、知っておいた方がよい法律をピックアップしました。ただ、法律は、ふだん聞きなれない難しい言葉で書かれています。そこで、その法律の文章を小学校高学年以上の人が読めるように、なるべくふだん使っている言葉に近づけました。
この本の使い方はあなたの自由です。この本を書いたわたしとしては、すみずみまで読み込んでほしいところですが、おすすめの読み方は、まず10分くらいでパラパラと読み通すことです。そして、「おもしろいな」と思った部分をじっくり読む。または…(中略)。
この本で身につけた知識は、いざというときに、きっとあなたのことを助けてくれるでしょう。
そういうなら、とパラパラとめくって読んでみた。
すぐさま、結構引き付けられて、読み進んでいった。
左側には、子ども向けに分かりやすいテーマが書いてある。
例えば、このページ。
「気軽に『死ね』って言ってない?」と書いてあり、その下にはわざと動物にして問題場面を絵で表している。
そして、その下に、具体的な法律を載せる。ここでは、
第202条 自殺関与及び同意殺人
人に死ぬことをすすめたり、手伝ったりして自殺させた人、
または本人に頼まれたり、殺してもいいと同意を得たりし
て殺した人は、6か月以上7年以下の懲役か禁錮とします。
そして右ページには、それに関係した内容を載せている。
例えば、「199条 殺人」とか「204条 傷害」とか「205条 傷害致死」などの罪の内容とそれに伴う罰則が、子どもにもわかりやすいように具体的に述べられている。
次のページには、「ケガをさせなくても暴行になるよ」として、
「第208条 暴行」を扱っているが、関連した内容で「206条 現場助勢」「207条 同時傷害の特例」「209条 過失傷害」「210条 過失致死」「211条 業務上過失致死傷等」などが並んでいる。
子どもに分かりやすいということは、大人も納得できる表現内容だ。
難しい表現でないので、大人がきちんと読んで理解しておくということも大事なことだよな、と思って、次々読んでいった私であった。
なお、「六法」というタイトルなのだが、本書では子ども向けに刑法・刑事訴訟法・少年法・民法・民事訴訟法・憲法・いじめ防止対策推進法の7つの法律が紹介されている。
困っている子どもを法律で助ける本、ということでの選択となったようだ。
大人もよく知らない法律の世界。
子どもではなくても、大人が読んで知っておくべき内容が多い本であった。