ON  MY  WAY

60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

娘よ(37)

2014-03-02 19:48:05 | 生き方
相変わらず病院は、インフルエンザの感染予防対策として、面会制限を続けたままだ。
娘が大部屋に移って、約2週間。
大部屋と言っても、4つのベッドがあり、それぞれカーテンで仕切られている。
他の患者さんは、寝たきりの高齢の女性ばかり。
娘との交流はまったくない。
そして、結構次々と入れ替わっている。
今は、すぐ右隣のベッドからは、一日中大きないびきが聞こえてくる。
少し前は、左入口側の人がそうだったのだけれど。
そういう環境の中でも、娘の様子は全く変わらない。
けいれん止めのD剤は、また少しずつ下げられてきたが、記憶や認識は去年の秋のように改善されていない。

記憶が積み上がらない。
だから、様々な?が生まれる。
「食事のメニューを記録する」という習慣はあるのだが、専用のノートに書くのを忘れて、落書き帳や手元の別な紙に書いたりしている。
また、食事しながら、自分がそのメニューの一部を書くのを忘れたと言い出したりしてペンを取ろうとすることがある。
しっかり食事前に記録したというのに。
また、自分が病院に入院していることを忘れたり、いる場所がわからなくなったりするのは、いつものことのようになっている。
そこに悲しさがある。

先週前半のある日には、気持ち悪さを訴えて、動作が止まったり、視線が動かなくなったりしたこともあったという。
それは、きっと「小発作」だったのではないだろうか。
そんなことがきっと本人も知らないうちに起こっているのではないか。
だから、症状が改善しないのではないか、などと考えることもある。
トイレへの行き来はなんとかできるようになったが…。

土曜日には、サッカーJ1リーグの開幕戦があった。
娘も、新潟のサッカー観戦は好きだった。
NHK地上波は、新潟県では、仙台―新潟戦を放映してくれた。
そこで、妻が、娘の部屋でTVをつけ、その試合を見せた。
勝ったことはよかったのだが、試合を見ながら何度も
「ミシェウさんがいない。」
「三門は?」
「亜土夢が23番じゃない。なんで10番?」
などと言っていた。
彼女の頭には、2年前に在籍していた選手やチームの様子が記憶されていて、去年や今年のアルビレックス新潟の情報は更新されていないのだ。

置時計には、日にちが表示されている。
だから、何月何日かは、それを見て認識できる。
先週は、私の誕生日があった。
その前日、病室で、「誕生日おめでとう」と絵とともに書かれてある、と書いた紙を娘からもらった。

そして、翌日行くと、前日それを私に渡したことを忘れて、また新しいカードが書かれていた。

2度ももらえてうれしい、ということにしておこう。

最新の記憶や認識がきちんとされなくとも、娘の性格、気持ちのよさは変わっていない、とわかるのだから。
コメント
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