ホームに名古屋を迎えると、新潟のサポーターには思うところがある。
昨シーズン途中で移籍した川又がいる。
川又は、先日発表された日本代表の一員となっている。
一昨年は、救世主となって活躍した彼のことだから、彼を応援する人は今でも少なくない。
スターティングメンバーの発表の際には、拍手をしていた人も結構いた。
新潟には、以前いた選手に対する礼の気持ちを表して他チームに移籍した選手に対して拍手を送る人は多かったのだけれど、最近は、現在在籍している自チームの選手たちを応援するために、他チームに移籍した選手たちへは、無視を決め込んでいる人が多い。
私もその一人だ。
でも、練習の時から、この坊主頭は懐かしさを感じた。
だけど、現在最下位にあえぐ新潟からゴールを奪ってほしくはないのだよな。
活躍は期待するけど、新潟戦では目立ってほしくないというのは、新潟サポーターの本音。
試合開始前には、新潟のラファエルと抱き合っていた。
なんだか憎めないやんちゃ坊主なんだよな、彼、川又は。
試合は、川又の現在の相棒、永井のゴールで先制されたけど、新潟も追いついて同点のまま、試合終了のホイッスルが鳴った。
この試合で川又と同期入団のDF舞行龍と大野は、川又に負けてたまるか、とばかりによくがんばって川又に得点を挙げさせなかった。
さすが舞行龍、そして「上越の星」大野だぜい。
川又は、新潟で後輩にあたる小泉とユニフォーム交換をして、再び新潟のユニフォームを着た。
そして、スタジアムの四方に向かって、4度頭を下げた。
そしてそれを着たまま、名古屋のサポーター席の前を通って、スタジアム内に消えた。
なんだか、ジーンとした。
新潟のサポーターにしてみれば、期待していたのに、シーズン途中に他チームに移籍していった、裏切りの選手。
だけど、川又にしてみれば、入団以来お世話になった新潟。
自分なりに思うところはあったのだろう。
律儀にあいさつしている彼の姿に、移籍した当時の様々なうわさを吹き消すようなさわやかさを感じた。
純粋でまっすぐなヤツなんだな、きっと。
一途で、周囲が思うほど、ヘンな計算はしていない男なんだろうな、きっと。
そう思った。
がんばれよ、川又。
かつて新潟に入団し在籍していた選手として、大きなひと花咲かせてほしい。
応援するよ。
Jリーグだろうと、ともすると海外だろうと、がんばってほしい。
日本代表としての活躍も期待している。
だけど、新潟戦だけは別だよな。
…ところで、と。
ユニフォーム交換させられた新潟の小泉は、かわいそうだったね。
名古屋のユニフォームを着る訳にもいかず、戸惑いながら歩いていたのが印象的だったね。
はは…。お気の毒さま…。