《社説①・11.24》:規正法の再改定 国会の場で議論を深めよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.24》:規正法の再改定 国会の場で議論を深めよ
国会の場で与野党が「政治とカネ」について真正面から論じ合わなければ、政治の信頼は取り戻せない。
派閥裏金事件を受けた衆院選で惨敗した自民党が、政治資金規正法の再改定に向けた基本方針を政治改革本部の全体会合で決めた。
党から幹部に支給され使途が不明確な政策活動費の廃止や、監査機能を強化する第三者機関の設置を柱にしている。
立憲民主党など主要野党が主張する企業・団体献金の禁止は盛り込まず、裏金事件の真相解明についても言及していない。会合では出席者から企業・団体献金の存続の必要性を訴える声が上がり、調整の過程で議論が封印された。
石破茂首相は会合後、「民主主義のコストを誰が負担するのが正しいのか、ということに帰着する」と述べ、企業・団体献金を容認している。
これに対し、立民の野田佳彦代表は「不正の温床になったり、政策をねじ曲げたりする可能性がある」として、企業・団体献金の禁止から規正法の見直しをスタートするべきだと主張してきた。
献金の禁止は日本維新の会や共産党も足並みをそろえる。経済対策で政権に歩み寄った国民民主党は主張を明確にしていない。
主張に隔たりがある中、自民は28日召集の臨時国会を前に与野党協議を行って意見を集約し、年内の再改定を目指すという。
注視するべきなのは、「政治とカネ」の問題は政治不信をもたらした根源であるということだ。
不透明な資金が不透明なルートで政治家に入り、使途も不透明なら、政治のかじ取りがカネに左右されかねない。民主主義の基盤を揺るがしかねない問題である。規正法改定の方向性をどう定めるのか。密室ではなく、国会の場で議論を公開して行うべきだ。
企業・団体献金を禁止することで何が問題になるのか、そもそも政治になぜ多額のカネが必要なのか。現在の選挙制度や選挙運動の在り方に原因があるのなら、改革を怠ってはならない。議論をするべき点はあまりにも多い。
政策活動費についても、自民案は「外交や企業の営業秘密に配慮が必要な支出を非公表とする」との余地を残す。恣意(しい)的に運用されないか疑念が残る。
各党が公開の場で議論を積み上げて法案を修正し、国民が納得できる改正を実現しなければならない。年内の再改定に執着せず、時間をかけて丁寧で分かりやすい論議を進めていくべきだ。
元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年11月24日 09:31:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます