沖縄問題に流れているのは日本国憲法を活かすか、殺すか!
さて、翁長知事の対応に対して、安倍政権は官房長官と防衛大臣が「全く問題なし」「この期に及んで」と、その意思を表明しました。「全く問題あり」であることは経過を視れば一目瞭然です。県民の意思が繰り返し表明されてきた「この期に及んで」何をか況やです!安倍政権がどっちの方に顔を向けているか、この問題を通して、ますます浮き彫りになってくることでしょう。墓穴を掘っているのは安倍政権です。
そこで、現地沖縄の二紙が何を主張しているか、以下掲載してみます。ところが、この二紙の記事を読むと、流石!とアッパレを送ることは当然にしても、しかし、真の解決に向けて何が必要かと考えると、この主張だけでは不十分と言わざるを得ません!何故か。以下指摘してみました。
一つは、沖縄の問題の底流には日米軍事同盟を優先するのか、それとも憲法を優先するか、という問題があるのですが、この視点から論じていません。曖昧です。
二つは、このことを曖昧にしているからこそ、沖縄と本土の国民の連帯を構築する、全国民に呼びかけるという点で弱点を持っているのです。そもそも憲法を活かすのか、それとも日米軍事同盟を優先させるのか、という視点は、沖縄だけ問題ではなく本土を含めた全国民の課題なはずです。この間の沖縄の手口を許せば、全国各地でも同じことが起こることは明らかです。このことを何故アピールしないのか!そこに沖縄の二紙の弱点があります。現地のたたかいに、多くの本土の国民が、支援していることは周知の事実です。
三つは、この安倍政権の憲法無視・日米軍事同盟優先の政治の弊害を受けている国民との連帯を呼びかけ、問題解決に向けて何を呼びかけるべきか、です。このことは、戦後の民主化運動の教訓です。三井三池闘争・沖縄施政権返還運動などに見られる教訓です。今や安倍政権は、国民にとって桎梏です。沖縄と本土が分断されている状況は、沖縄にとっても、本土にとっても不幸極まりないものと言えます。
四つは、憲法を「錦の御旗」に何を発信していくか、そのことが鋭く問われているのです。
沖縄VS本土ではないぞ!琉球新報!
全国民の連帯を構築してこそ沖縄問題は解決できることを自覚すべきだ!
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-240804-storytopic-11.html
目の前に横たわる不条理に対し、冷静に法理を尽くし、粛々と是正を求める権限行使である。沖縄の尊厳を懸けた安倍政権との攻防は新たな局面を迎えた。名護市辺野古への新基地建設に向け、国が投入した巨大なブロック塊がサンゴ礁を破壊している問題で、翁長雄志知事は沖縄防衛局に対し、海底ボーリング(掘削)調査など全ての海上作業を30日までに停止するよう指示した。作業停止を拒む政府に対し、翁長知事は「腹は決めている」と述べた。埋め立て本体工事の基盤となる岩礁破砕許可も取り消される公算が大きくなった。
「主権」はどこへ
翁長知事は安慶田光男、浦崎唯昭の両副知事と共に会見した。新基地建設阻止に向けた不退転の決意を県内外に示す狙いがあろう。
「沖縄のことは沖縄が決める」。われわれは地方自治の原則に根差した知事の決断を強く支持する。
問題を整理しよう。国は新基地建設に抵抗する市民を排除するため、埋め立て海域を取り囲む臨時立ち入り制限区域を設けた。その上で、埋め立てを承認した仲井真弘多前知事から昨年8月に岩礁破砕の許可を得た。
広大な臨時制限区域を示す浮標灯を固定する重りとして、沖縄防衛局は海底に最大160キロの鋼板アンカー248個を設置したが、大型台風で120個が流出した。消えたアンカーの代わりにしたブロック塊の重量は10〜45トン、低く見積もっても当初のアンカーの62〜280倍に及ぶ。環境保全に背を向けた常軌を逸した対応だ。埋め立て海域とは関係ない海域で巨大なブロックがサンゴ礁を無残に押しつぶしている。「無許可行為」が確認されれば、岩礁破砕許可取り消しなどを命じることができる。知事の作業停止指示には環境破壊を防ぐ法的正当性がある。
一方、県は臨時制限区域内で、サンゴ礁の破壊の有無を調べる立ち入り調査を申請したが、米軍は「運用上の理由」を挙げ、不許可にした。だが、沖縄防衛局は連日、潜水調査を実施しており、運用上の理由は成り立たない。防衛省や外務省は県の調査実現の仲介さえしようとしない。狭量な二重基準が極まっている。
安倍政権と米軍が気脈を通わせた県排除の構図だ。日本国内の環境を守るための調査さえかなわないなら自発的な「主権喪失」と言うしかない。安倍晋三首相が国会などで連呼してきた「主権」は沖縄では存在しないかのようだ。
低劣な品格あらわ
「全く問題はない」。沖縄の基地負担軽減を担当しているらしい菅義偉官房長官はこの日も硬い表情で断定調の「全く」を再三口にした。強気一辺倒の物言いには、沖縄を敵視する響きがある。見たくない現実から目を背け、都合のよい事情だけ取り入れて強がり、恫喝(どうかつ)する。仲井真前知事による埋め立て承認にすがりつき、沖縄の民意を問答無用で組み敷くことしか打つ手がないことの表れだ。子どもじみた心性が際立つ。民主主義の価値を損なう政権の低劣な品格が映し出されている。
沖縄の民意は「普天間固定化ノー、辺野古新基地ノー」だ。掘削強行や人権無視の過剰警備など、安倍政権のやることなすことが沖縄社会の反発を強める悪循環に陥っている。「辺野古移設か、固定化か」という脅しも沖縄に基地を押し込める差別を助長している。
普天間飛行場は戦後、米軍が民有地を強制接収して造った。奪われた土地にできた基地を動かす先がなぜ県内なのか。かつて県内移設を認めていた県民も根本的な疑念を深め、今は総じて7割超が反対している。普天間飛行場を抱える宜野湾市でも民意は鮮明だ。昨年の県知事選と衆院選で危険性除去を訴えた仲井真前知事と自民党現職は大差をつけられた。
民主主義を重んじる正当性は沖縄にある。安倍政権は工事停止指示を受け入れるべきだ。追い込まれているのは政権の側である。(引用ここまで)
全ての責任は
県との一切の対話を拒否し、選挙で示された民意を完全に無視し、
公権力を振り回して問答無用の姿勢で抗議行動を強権的に封じ込め、
一方的に作業を続け新基地建設を進める安倍政権にあり!
これでは日本国の政権としての正当性は皆無だ!というべきだろう!
沖縄タイムス 辺野古 作業停止指示/筋を通した重い判断だ 2015/3/24 6:07
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=108428
名護市辺野古の新基地建設に反対する翁長雄志知事が、自らの権限を行使し、新たな対抗措置に踏み切った。ボーリング調査を含むすべての海上作業を1週間以内に停止するよう沖縄防衛局に指示したのである。
国が指示に従う可能性は極めて低い。従わなければ来週にも岩礁破砕の許可を取り消す考えだ。
海底の岩石採掘と土砂採取などを内容とする岩礁破砕の許可が取り消されれば、埋め立て工事の着工に影響を与えるのは確実である。
翁長知事にとっては就任以来、最も重い政治決断といえる。なぜ、何を根拠に、知事は作業の停止を求めたのか。一連の経過を冷静に吟味すれば、筋の通った毅然(きぜん)とした判断であることが理解できる。
県は昨年8月、仲井真弘多前知事の時に、県漁業調整規則に基づき埋め立てに必要な岩礁破砕を許可した。
しかし今年2月、海底ボーリング調査を再開するため海中にコンクリート製の大型ブロックを投入した際、許可区域外にコンクリートブロックを設置し、サンゴを傷つけていたことが県の潜水調査で分かった。
翁長知事は「漁業調整規則違反の懸念が払拭(ふっしょく)できない」と主張、調査が終了するまでのすべての作業の中止を指示したのである。
併せて県は、臨時制限区域への立ち入り調査を認めるようあらためて沖縄防衛局に申請した。公務遂行のための調査であるにもかかわらず、米軍は、県の立ち入り調査を認めていないからだ。
臨時制限区域内では、民間の工事船や海上保安庁の警備船が多数出入りし、沖縄防衛局も独自の潜水調査を実施している。なのに、県の調査だけを認めないというのは、嫌がらせと言うしかない。
菅義偉官房長官は「国としては十分な調整を行った上で許可をいただき工事をしている。全く問題ない」と法的正当性を強調する。だが、岩礁破砕の許可には条件がついており、条件に反する行為が確認されれば、許可を取り消すのは当然である。
それよりも何よりも最大の問題は、前知事の埋め立て承認を唯一の根拠に、県との一切の対話を拒否し、選挙で示された民意を完全に無視し、抗議行動を強権的に封じ込め、一方的に作業を続けていることだ。埋め立て承認が得られたからといって、公権力を振り回して問答無用の姿勢で新基地建設を進めることが認められたわけではないのである。
国の環境監視等委員会(第三者機関)に配布した資料の改ざん、議事録公開の遅れが問題になっている。同委員会の副委員長は、国の環境影響評価(アセスメント)に不満を抱き、辞任を表明した。
埋め立て承認の適法性に疑問符が付いているだけでなく、国の環境影響評価の信頼性も、疑われ続けているのである。「1強多弱」の国会の中で、安倍政権におごりや慢心が生じていないか。新基地建設は、今や完全に「負のスパイラル(らせん)」に陥っている。異常な事態だ。(引用ここまで)