今年の春は、どうも肌寒い日が多い気がする。
四月も半ばにならうとしてゐるのに、いまだ春ならではの、あの“待ちかねた感”を覚えないのは、そのせいだらうか。
桜が咲いてゐるのを見て、からうじて現在を認識する私である。
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「それはまず、“女人禁制”を改めることでした」
話しはいよいよ、核心に入ろうとしている。
僕は秘かに、生唾をのみこんだ。
下鶴昌之は、僕が話しに食い付いているのを確かめたかのように、ひとつ小さく頷くと、
「それを最初に言い出したのが、なんと宮司さん本人やったのです。われわれ一同、初めはほんまに耳を疑いました。熊橋さんは『何を言うてはります!』と、宮司さんに掴みかからん勢いやったですわ」
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