迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

ごゑんきゃうげん17

2017-04-04 06:17:17 | 戯作
“稽古見学”のあと、僕は下鶴昌之の運転する車で、葛原駅前のホテルまで送ってもらった。 熊橋老人には夕食も誘われたが、丁重に辞退したのだった。 実際はそれよりも、溝渕静男に、面倒くさそうなものを感じていたからだ。 あの男の雰囲気では、じつは松羽目も、自分で手掛けるつもりだっただろう……。 車は姫哭山の裾を迂回する国道を通って、葛原駅を目指す。 窓から見る姫哭山は、すでに夜闇に溶け込もうとし . . . 本文を読む
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