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横浜都市発展記念館で、「時計屋さんの昭和日記」展を見る。
戦前に信州から横浜に出て時計店に奉公し、第二次大戦中の徴兵を経て、戦後にやはり横浜で自らの店を開いた一人の時計商の生き様と、彼の遺した日記から、当時のヨコハマの世相を見つめた企画展。
限られたスペースに、一人の庶民の横浜で生きた証が、日記の抜粋をはじめとする豊富な資料で語られ、“生きる”といふことの深さを、しみじみと感じさせる。
それを強く印象づけるのが第二次大戦の章で、爆撃によって街はおろか、人間の価値観さえ破壊された混迷極まる世相を、彼は冷静且つ豊かな表現力で日記帳に写しとっており、その見事な文章力は天与の才にほかならない。
それにしても、あらゆるものが貧窮していくなか、なぜ人の殺し合いを続けなければならなかったのか-
もしそれが“お国の威信云々”と言ふならば、これ以上の愚行はないと、強い憤りを覚える。
この企画展の主人公である時計店主人下平政煕さんは、約二十年前の平成六年、自身のお店で天寿を全うされた。
生涯現役を貫いた、素晴らしい生き方だと思ふ。
戦前に信州から横浜に出て時計店に奉公し、第二次大戦中の徴兵を経て、戦後にやはり横浜で自らの店を開いた一人の時計商の生き様と、彼の遺した日記から、当時のヨコハマの世相を見つめた企画展。
限られたスペースに、一人の庶民の横浜で生きた証が、日記の抜粋をはじめとする豊富な資料で語られ、“生きる”といふことの深さを、しみじみと感じさせる。
それを強く印象づけるのが第二次大戦の章で、爆撃によって街はおろか、人間の価値観さえ破壊された混迷極まる世相を、彼は冷静且つ豊かな表現力で日記帳に写しとっており、その見事な文章力は天与の才にほかならない。
それにしても、あらゆるものが貧窮していくなか、なぜ人の殺し合いを続けなければならなかったのか-
もしそれが“お国の威信云々”と言ふならば、これ以上の愚行はないと、強い憤りを覚える。
この企画展の主人公である時計店主人下平政煕さんは、約二十年前の平成六年、自身のお店で天寿を全うされた。
生涯現役を貫いた、素晴らしい生き方だと思ふ。