迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

あしたかやまやふじのたかね。

2013-05-01 21:19:59 | 浮世見聞記
富士山が、ついに世界遺産へ登録となるらしい。


こうして、今まで見向きもしなかったような衆俗愚族がワッと押しかけて、散々に踏み荒らした挙げ句に、遭難者は続出するわ、富士宮市長が懸念した通りゴミは撒き散らかすわで、遺産としての価値が台無しになってしまうのが目に見えている、今回のニュース。


そして、わたしの好きな江戸の古川柳、


来てみれば さほどまでなし 富士の山


が、現代的な意味合いをもっていよいよ生きてくるわけです。


ゴミを平気で捨てて行くゴミを排除するためにも、これからはやはり、“入山料”はとったほうがいいね。

それも、一般凡俗には手が出ないような、めちゃめちゃに高い料金に設定して。

いいじゃん、日本一高い山なんだから、入山料も日本一高くたって。


ふと気になったけれど、ナントカ樹海に散らばっている誰かたちの白骨も、世界遺産の一部になるのかしら?



ちなみに上の写真は、静岡県の三保海岸、そう、今回世界遺産登録の申請から外された、“三保松原”から撮影したもの。

松原が残っているのは“羽衣の松”の周辺だけで、現地はいま、写真からもわかるように護岸工事の真っ最中。

これが、現実。

大好きな謡曲「羽衣」の舞台なだけに残念だけれど、いにしえの風光明媚な眺めは、詞章から自分でイメージして楽しみまする。



風向う

雲の浮き波立つと見て

釣りせで人や帰るらん

まてしばし春ならば

吹くものどけき朝風の

松は常盤の声ぞかし

浪は音なき朝なぎに

釣り人多き小舟かな

釣り人多き小舟かな
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