銀座線の、新しい澁谷驛を見に出かける。
改札口外では、かつてのホームを撮ってゐる者、幾人かありけり。
さりながら、かつてそこにホームがあったと云ふ記憶より、写真を撮ったこと、そしてそれをどこに保存したかと云ふ記憶を失くすはうが、先だらう。
といふか、一帯そのものが未完成のままだ。
相変はらずだなと呆れてゐると、路傍で津軽三味線を掻き鳴らす者ありけり。
その忙しない調べが、落ち着きを忘れたこの街の様を見事に擬音化してゐて、
改札口外では、かつてのホームを撮ってゐる者、幾人かありけり。
さりながら、かつてそこにホームがあったと云ふ記憶より、写真を撮ったこと、そしてそれをどこに保存したかと云ふ記憶を失くすはうが、先だらう。
驛はとりあへずホームの位置を明治通り上に移動させたといふだけで、細部はまだまだ未完成。
といふか、一帯そのものが未完成のままだ。
それが、この忙しい街を余計に落ち着きのないものにしてゐる。
相変はらずだなと呆れてゐると、路傍で津軽三味線を掻き鳴らす者ありけり。
その忙しない調べが、落ち着きを忘れたこの街の様を見事に擬音化してゐて、
「おっ、巧いもんや……」
初めて笑みが零るる。