樂しみにしてゐながら、なかなか出かけられずにいた大倉山記念館二階の図書館で開かれてゐる、「横浜と相撲展─横綱武蔵山没後50年記念─」を、やっと観る。
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技量よし、体格よし、男っぷりよしで銀幕スターのやうな人気があったと云ふ第三十三代横綱•武蔵山に展示資料を通して逢ふのは、これで三度目。
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三度目でも新鮮な魅力を覺えるのは、膨大な資料を明解にまとめた學藝員たちの腕もさることながら、やはり没後五十年以上を経た現在も翳らぬ、武蔵山関の“華”がなせる技ではないだらうか。
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技量よし、体格よし、男っぷりよしで銀幕スターのやうな人気があったと云ふ第三十三代横綱•武蔵山に展示資料を通して逢ふのは、これで三度目。
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三度目でも新鮮な魅力を覺えるのは、膨大な資料を明解にまとめた學藝員たちの腕もさることながら、やはり没後五十年以上を経た現在も翳らぬ、武蔵山関の“華”がなせる技ではないだらうか。
なにしろ今回の資料展は、「好評につき」二月一日までの会期を二十九日まで延長したほどなのだから!
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その好評な資料展を三度目讀むうちに改めて浮かび上がってきたのが、昭和十年に二十五歳で横綱へとスピード出世した武蔵山関の、時流への戸惑ひとそれに抗しやうとする姿。
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その好評な資料展を三度目讀むうちに改めて浮かび上がってきたのが、昭和十年に二十五歳で横綱へとスピード出世した武蔵山関の、時流への戸惑ひとそれに抗しやうとする姿。
いつの世も変はらぬ組織社会の實際と、それに屈する側との實際を思へば、
「力士生活中、八百長組合に加入しなかったことを誇りとしています」
角界引退後に遺したこの言葉にこそ、武蔵山関の“華”の本質があると、私は聴くのである。