このブログを本格的に始めた十年ほど前は、缶コーヒーは短命ながら個性的な“作品”がよく出てゐて、私もいろいろと賞味しながら記事のネタ取りをしてゐたものだった。
さりながら。
現在ではどのメーカーも、當今はやりの「他人(ひと)の猿マネ」で、微糖モノだらけ。
私はああいふ化学的に制御された中途半端な味は嫌ひなので、近頃は三遊亭小圓朝師亡きあとは落語会の告知にあまり目がいかなくなったのと同様、缶コーヒーには目もくれなくなったが、さうしたなか「おや………?」と目を惹ひたのが、↓の缶コーヒー。
“KING”
大手メーカーの商品ではない。
だうやら愛知県名古屋のメーカーのやうで、¥80といふ“特別”販売価格にアヤシイものを感じながらも、他社では見られない缶の絵柄に、大いに興味をそそられる。
香料、人工甘味料ともにいっさい不使用と明記されてゐるだけあって、ヘンに苦くもなく、甘くもなく、微糖モノによくある化学薬品っぽい奇妙な味は皆無、コーヒーの風味だけに特化したシンプルな味はひで、久しぶりに「美味やん……!」と思へる缶コーヒーに出逢った。
ただ、大手メーカーではない悲しさに、街中のどの自販機にもあるわけではないのが、残念なところ。
むしろ、見つけ出すはうが困難かもしれない。
が、見つけにくひものを運良く見つけときの福感は、また格別なもの。
だからこそ、美味しく、有り難くいただけるといふものだ。
シアワセは、
簡単に手に入るものではない。
さてこのKING、次はどこで出逢へるやろか。