座席の肘掛けはどちらのものか?──
公共の場におけるこの問題は、すでに古典的議論となった観がある。
いつであったか、ラジオを聴ひてゐて「へぇ……」と思ったのは、あれは本當は隣りとの“仕切り板”で、それでは見た目が悪ゐので肘掛けの形を借りてゐる、と云ふこと。
肘掛けにあらず、
じつは仕切り板!
だから、間に一つしかないのか。
その話しを聴ひて以来、私は隣りに人が座ってゐるときは、あれに肘をのせることをやめた。
気の利ひた映画館のやうに、一つの座席にちゃんと両方肘掛けがある場合は、堂々と肘をのせてふんぞり返ってもよからう。
さうでなゐ場合は、“寄ると触ると云々”
ゆゑ……。