神奈川県立歴史博物館の特別展「北からの開国」を観る。
露國の“北方領土”への執念は、じつに日本國の江戸時代にまで遡ることを再認識させらるる。
そしてそれは、現在進行形の末解決な問題であることを──おそらくは永遠に──、思ひ知らさるる。
もちろん江戸の日本國政府は、様々な世論に叩かれながらも真摯に“海防”に取り組んだ。
相模湾沿岸を巡視し、またいくつもの“台場”を築造したが、その略図を急いで巻子に仕立てたため、表具の出来映えに難があることを告白してゐるところに、いみじくも幕閣の動揺ぶりが露呈してゐる、と見ることも出来る。
──それから約八十年後、実際に北方四島を露國に獲られてしまったことを、私たちは先祖に恥じなくてはならない。
戦争によって失はれたものは、かくして戻り難きものになることを、よく肝に銘ずべし。