九月の土日はあちこちで祭禮が行はれ、私の棲む町の、私には縁の無い神社でも賑々しく行はれてゐるのを掠め見る。
最寄驛と棲家とを結ぶ道の途中に當り、かなり以前に一度、祭りの雰囲氣に浸り乍ら通り抜けやうとしたが、思った以上の混雑でなかなか前に進めず苛立ったことに懲りて、いらい祭禮當日は大きく迂回するか、せいぜい付近を掠めて通るやうにして、二度と足を踏み入れる愚だけは演じないやう心がけ、いまに至る。
狭い境内の舞薹から、奉納演藝なのか何なのか、音量だけは立派なバンド演奏が聞こえてくる。
どうも私は、ああいふ場における、ああいふテのオンガクだけは耳が受け付けない。
たぶん、演奏してゐる自分たちだけが樂しんでやってゐるからだらう。
私の棲家にまでは聞こえてこないのが、本當に幸ひだ。
祭禮には神輿や山車の巡行が付き物だが、近隣の或る町の場合、神輿を淺草から借りて巡行してゐる云々。
それぞれの地區で氏子たちが神輿を保有してゐるものとばかり思ってゐたので、「さうなんだ……」と意外に思ふ。