dmenuニュースより
http://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20230518k0000m040078000c?fm=d
今日午前十時頃、目黒區目黒の自宅で一家三人が倒れてゐるのを訪れたマネージャー氏が發見、母親はその場で死亡が確認され、父親の四代目市川段四郎氏は搬送先の病院で死亡、息子の四代目市川猿之助氏は命に別状なし云々、三人とも外傷はなく、自宅には遺書らしきものが見つかる云々、猿之助氏が出演中の明治座興行については中止云々──
それにしてもこのごろは、歌舞伎興行の中止拂ひ戻しがよく續くナと思ふ。
別報によれば、當代市川猿之助氏のご亂行ぶりは度を越してゐた云々、それについては氏の前名時分からたびたび洩れ聞いてゐたことなので大して驚かず、また父親の弟子たちを「ウチの家畜」と面罵したことについても、それに立腹して辞めたと云ふ元お弟子本人から聞いたことがあるので今さらべつに驚かず、ただ、今回の一家無理心中とも映る醜聞について、當人は「命に別状なし」には驚く。
當人については私が知ったかぶりをするよりも、かつて伯父で先代猿之助の現市川猿翁氏が、「アイツは私の真似をすれば、私のやうになれると思ってゐるのかな?」と彼を皮肉ったと云ふことが、當代市川猿之助の全てを物語ってゐると云へるだらう。
ただただお気の毒なのは、彼の父親である市川段四郎氏である。
長らく病床にあって舞薹から遠ざかってゐたことは知ってゐたが、この最期はあまりに哀れすぎる。
革新的で個性的な芝居をする兄の先代猿之助と異なり、古典歌舞伎を正統派の演技でしっかりと見せ、かつて新聞評でも「お手本」と絶賛された一方、現代口調の新作劇でもそれに順應した楷書の芝居を魅せる名優であっただけに、先代の市川團十郎同様、息子に恵まれなかったことが惜しまれる。
合掌