交差點で信号待ちをしてゐると、小さな男の子がともすれば車道へはみ出しかねない不穏な動きをみせてゐた。
生憎手が塞がってゐる若い母親は、黄色の點字ブロックの内側まで下がるやう注意するが、男の子は反應を示さない。
そこで若い母親は、
「このあいだ電車の車掌さん何て云ってたかな? 『黄色い線の内側までお下がり下さい』って云ってたよね?」
すると男の子は、素直に點字ブロックの内側まで下がった。
おそらく、その小さな男の子は“でんしゃ”が好きなのだらう。
そこに絡めた注意を工夫した母親に、上手いな、と感心する。
ちょっと、いいものを見たやうな氣がした。