迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

てつみちがゆく──“主流”へのレジスタンス、相模鉄道20000系

2018-04-14 18:17:37 | 鐵路
100年を迎へた相模鉄道が、東急線やJR線への乗り入れに備へて新造した20000系が登場して、二ヶ月が過ぎた。


お仲間たちのお祭り騒ぎがいゐかげん落ち着ひたのを見計らゐ、見物に出かけばやと、存じ候。



多くのお仲間が突っ込んでゐる如く、正面の横皺がなんとも目障りだが、これは他社にはなゐ独自性のあるデザインを追求した結果、かうなったらしゐ。

鉄道におゐては確かにさうだらうが、“乗り物”といふ広ひ視野で眺むれば、





すでに先駆者がゐる。


だが、車体をJR◯日本のE◯◯◯と同じ──“そっくり”ではなく──にせず、また色付けもステッカーではなく昔ながらの塗装を採用したところ、京浜急行の最新版1000系と並んで大ひにアッパレだ。


とにかく、JR◯日本のE◯◯◯が現れてからといふもの、一時は各鉄道会社線にあんなパワーの無ゐ安普請に追従したやうなクローンが増殖し、「いまの私鉄各社に理念は無ひのか!」と腹が立ったものだが、横浜の鉄道会社がようやく目覚めてくれたことは、嬉しゐかぎりだ。


スマートな内装にも、いかにも知恵を絞った様子が良ゐ意味で現れ、



なかでも俗世の穢ひ情報が五月蝿(うるさ)ひ中吊り広告をすべて廃し、20000系のPRに特化してゐるところは、静謐な統一感があって気持ちが落ち着く。

とかく無駄な広告だらけの当世、これは継続してほしゐものだ。


20000系のコンセプトは、

『待ってでも乗りたい車両』

ださうで、待ってでも、とまではいかなゐまでも、ホームに入線してくれば、「おっ!」と思へるだけの新車ではある。


『乗りたい車両』

と言ってゐるところに、その鉄道が愛されるための根本が、ちゃんと掴めてゐる。


陳腐な新型車両を繁殖させ、「利便性向上」の名の下に優等列車の停車駅を年々増やし、

所要時間の延長と、

大混雑と、

大遅延を発生させ、

結局は利用客のことよりおのれの収益を上げることだけを考へてゐる鉄道は、だんだんとそっぽを向かれる。


登場時は北大阪急行線“ポールスター号”にそっくりだった9000系を、



本格的なお化粧直しで、アッと言はせたり、



駅に幅の広ひベンチを新設したりと、



利用客の気持ちをよく考へた企業努力への好感から、

次はいつ乗りに来やうかしら、

と思はせる相模鉄道、

なかなかやりおるわゐ……。
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