迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

笑ひの根底に流れるもの。

2019-02-23 22:14:36 | 浮世見聞記
横浜能楽堂が主催した、「能楽師が案内する見学と能楽ワークショップ」に参加する。


案内役は、狂言方大蔵流の山本則重、則秀の両師。


これまで、狂言だけは観るばかりで体験したことがなかったので、どんな感じなのだらうと、かなり楽しみにして横浜能楽堂へ出かける。


基本的な構へ、歩き方、笑ひ方、泣き方──狂言では嘘泣きが多いとのお話しに、そう言へばと納得する──を体験出来ただけでも大満足だったが、本舞台で両師が「痿痺(しびり)」を実演してくださったのは、思ひがけない御馳走!


そして楽屋や鏡の間、本舞台を案内しながら、それらにまつわる玄人の演者ならではの“深い”お話しを、分かり易い言葉でいろいろと聞かせて下さり、大いに勉強となる。


小ムズカシイ言葉を使ひたがり、ムダに話しをややこしくする學者センセイやら評論家センセイなどでは、あのやうな目から鱗なお話しは、まず望めない。





予定外に素襖の長袴をたたむところを見せて下さるなど、充実した九十分間のワークショップを通して、私は日本人が古来持ってゐたはずの『慎み』の精神が、現代人からは明らかに喪はれてゐることを感じる。


そして、技藝の根底に流れるさうした日本人古来の“心”に気が付き、そしてそれを受け継ひでいくことが、傅統藝能に携わる者の大事な使命であることを、両師の真摯な姿から学ぶ。


──それが、今回の企画に参加した私の、いちばんの収穫。




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