出家して間もない壮年期の姿を描いたと思はれる、足利義満のあらたな肖像画が發見云々。
義満の死去から約150年後、狩野派の繪師によって描かれ、髭だけがやけに黒々としてゐるのは、なんらかの原本から冩すとき、髭の色の“情報”がすでに失はれてゐたため、(とりあへず)黒で描いたのではないか──
これだけの情報を研究者たちが讀みとれたのは、肖像の下部に捺された一つの小さな「印(判子)」のおかげ。
令和二年(2020年)十二月現在、やけに判子がイジメられてゐるが、今回の發見はさうした奇妙な現象に、一石を投じるものではありますまいか……。