迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

明らかに、DNA !

2010-05-15 20:30:03 | 浮世見聞記
私の祖母たちが眠るお寺には、東京23区内にありながら今でもポンプ式井戸が現役で頑張っています。


私の祖母は長年、趣味で民舞(民謡舞踊)を習っていた人で、私も小学生の頃、毎年春に都内の文化ホールで行われる発表会を、母に連れられて観に行ったものです。

まだほんの子どもでしたから、上手い下手なんて当然解りませんでしたが-周囲の評価は高かったようです-、祖母が舞台で踊っている姿そのものは、今でもはっきりと憶えています。

また家が芝の鳶職と云う生粋の江戸っ子だった祖母は、少女時代から歌舞伎が大好きで、よく歌舞伎座の幕見席へ出掛けては六代目尾上菊五郎や十五代目市村羽左衛門の芝居を観ていたそうです。

そしてその頃は清元の稽古をしていたそうで、私も中学生の頃、祖母が部屋で用事をしながら「保名」の一節を口ずさんでいたのを憶えています。


私が生まれる前に亡くなった祖父は霞ヶ関の省庁に勤める人で、家族には大変厳格であった一方、トランペットが得意な人だったそうで、浅草オペラの大スターだった田谷力三のステージにもかつて出演したことがある程の腕前だったとか。

そしてチャールズ・チャップリンやバスター・キートンの喜劇映画が大好きだった-もちろんリアルタイムで観ていたでしょう-…とくると、どうやら私は、この祖父母の“血”を濃く受け継いでいるらしい、ということに気が付くのです。


かつて祖母から、「自分が子どもの頃、当時健在だった自分の祖父から『身内に歌舞伎役者だった人がいる』と聞いたことがある」と話してくれたことがありますが、何しろゆうに百年以上も昔のことになる故、今となっては事実を確かめられないのが残念です。
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