国立大劇場で、前進座の公演を観ました。
今年の狂言は「通し狂言 切られお富 処女翫浮名横櫛」。
本外題と通称とが本来とは逆になっているのが、ん?と思わなくはないものの、芝居自体はいかにもこの劇団らしくきっちりとよく纏まっていて、観ている側としてもごく自然体で芝居を楽しむことができました。
ただ、舞台が広すぎて幕末出来の芝居ならではの頽廃的な空気はかなり薄くなっていましたが…。
むしろ、かつての芝居小屋の寸法を参考にしてつくられた前進座劇場の舞台の方が、雰囲気が出ていいかもしれません。
二年前に観た「解脱衣楓累」があれだけ面白かったのは、あの劇場空間に因るところも大きかったはず、芝居は役者や演出だけ良くてもダメなのだ、なんて当たり前な事を、自分の目で改めて見られたのが、今回の収穫。
それはさておき、主演の河原崎國太郎さんの、何気ない一瞬にふっと見せる愛らしさ、これはほかの役者には出せない、この女形ならではの、貴重な味です。
今回のもう一つの売りはやはり、七代目嵐芳三郎の襲名披露。
本編の前に襲名披露口上の一幕を設けるなど、気合い充分なのは嵐姓の大名跡復活なだけに嬉しい限りである一方、前進座歌舞伎の大事な戦力が一人、総連名に見えなくなっているのを、残念に思いました。
今年の狂言は「通し狂言 切られお富 処女翫浮名横櫛」。
本外題と通称とが本来とは逆になっているのが、ん?と思わなくはないものの、芝居自体はいかにもこの劇団らしくきっちりとよく纏まっていて、観ている側としてもごく自然体で芝居を楽しむことができました。
ただ、舞台が広すぎて幕末出来の芝居ならではの頽廃的な空気はかなり薄くなっていましたが…。
むしろ、かつての芝居小屋の寸法を参考にしてつくられた前進座劇場の舞台の方が、雰囲気が出ていいかもしれません。
二年前に観た「解脱衣楓累」があれだけ面白かったのは、あの劇場空間に因るところも大きかったはず、芝居は役者や演出だけ良くてもダメなのだ、なんて当たり前な事を、自分の目で改めて見られたのが、今回の収穫。
それはさておき、主演の河原崎國太郎さんの、何気ない一瞬にふっと見せる愛らしさ、これはほかの役者には出せない、この女形ならではの、貴重な味です。
今回のもう一つの売りはやはり、七代目嵐芳三郎の襲名披露。
本編の前に襲名披露口上の一幕を設けるなど、気合い充分なのは嵐姓の大名跡復活なだけに嬉しい限りである一方、前進座歌舞伎の大事な戦力が一人、総連名に見えなくなっているのを、残念に思いました。