陶芸工房 朝

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辛 淑玉さん

2006年12月12日 | 日記・エッセイ・コラム

 しずおか女性の会の「新春フォーラム」に、辛淑玉さんの講演をお願いすることになった。

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辛さんは、在日コリアン三世の人材育成コンサルタント。

雑誌やテレビで、すでにご存知の方も多いだろうが、彼女の書いた自伝的なエッセイ「せっちゃんのごちそう」を読んで、そのすざましい生き様に圧倒された。

「金もなく、学歴もなく、後ろ盾もなく、ネットワークもなく、信用もなく、日本国籍もなく、男でもない。

逆に言えば、失うものは何もない。

消しゴムカバーの糊付け、袋張り、ガラスビン集め、箱詰め作業、ヤクルト配達、新聞配達、チラシ配り、パン屋、ケーキ屋、焼肉屋、喫茶店の店員、アサリ売り、荷物おろし、ホステス、皿洗い、ヘアモデル、下着や水着のモデル、映画のエキストラ、DJ、パチンコ屋、鉄くずの仕分け、ビルの掃除、キャンペーンガール、手配師、深夜警備、店頭での客引き、

お金をもらえるなら、どんな仕事でもやってきた。

貧しさから逃れるためには、お金が必要だった。そして、お金は働かなくては手に入らない。「せっちゃんのごちそう」・貧しさから逃れるために、働くということ より。

在日朝鮮人が、どのような境遇の中で、その過酷な状況とどのように戦ってきたのか、痛いほどよく判る。

Photo_15 つづきはまた後で。

続。

「せっちゃんのごちそう」は、短い一文がエッセイ風につづられたもので、決して上手な文章ではない。しかし、そこに書きつづられた真実には力がある、説得力がある。

 辛淑玉さんは、今、UCSDカリフォルニア大学サンディエゴ校の客員研究員としてアメリカに滞在中である。その他にも、人材育成の会社を経営し、明治大学の客員教授をも務めている。いわば、さまざまな分野での業績をみとめられた、恵まれた成功者でもある。

 しかし、それらの評価は、マイノリティとして、苦難に満ちた「生」を戦い抜いた者に与えられるにふさわしい結果のような気もする。 きっぱりと筋の通った生き方が、すがすがしく潔い。

 来春の1月27日(土)の講演が楽しみである。