今年も梅雨の季節を迎えました。何処に行っても紫陽花の花がきれいです。
紫陽花はこの季節のシンボルであり、その色と言い風情と言い
何処か日本人の古典的な美意識に通じるところがあるような気がします。
家の前、谷津山の紫陽花。数年前に植えた株が成長して窓からの眺めはなかなかのもの。
これだけ一般的で庶民的な紫陽花だから、昔の物語や詩にも
きっとたくさん読まれているだろうと思って、調べてみたのですが、
なぜかあまり目ぼしいものが見つかりません。
やや平凡だけれど昔の人の感興が感じられるかな、と思った一首。
あぢさゐの下葉にすだく蛍をば四ひらの数の添ふかとぞ見ゆ 藤原定家
紫陽花と蛍の取り合わせを見たままに読んだのでしょう。
ただ、古人が見ていた紫陽花も、歌に読まれた紫陽花も、
今私たちが見ているような色鮮やかで大ぶりな紫陽花ではなく、
写真のような、やや地味なガクアジサイだったのではないでしょうか。