そんなに急がなくってもいいのに・・・、ゆっくりと一つずつ出てくれればいいのに・・・。
そんな私の願いとは裏腹に、春のうららに、我先にと背伸びを始めた植物たちは、今日なんか、もう、やかましい程のにぎにぎしさです。めいめいが勝手にはしゃいでいる、そんな感じです。
おとなしくてちょっとはにかみ屋のユキヤナギ、
小さな黄色いリボンをちりばめたみたいな レンギョウ。
育ちのいい無垢な少女をおもわせる 姫辛夷(コブシ)。
いつもの場所にいつものように陣取っている バイモ(貝母)ユリ 。
お馴染みのクリスマスローズは、もうこんな風に大賑わい。
おくるみにくるまれた生まれたての赤ちゃんのような ヒトリシズカ。
三月になって、気温が上昇し、雨の量が急に増したら、花々が一斉に咲き始めました。三月の五日は啓蟄でした。冬眠していた虫や蟻や蛇や蛙たちも穴から出てくる季節です。うちの水瓶の住人(ヒメダカ)たちも、久しぶりに水面から顔を出しています。もうすぐ、昼夜の時間が等しくなる春分です。
咲き満ちてこぼるる花もなかりけり 虚子
喜びも 悲しみも 苦しみも、み~んな飲み込んで、こぼれるような春です。