大切な桜の歌を忘れていました。西行の歌です。
ねがはくは花のしたにて春しなんそのきさらぎのもちつきのころ
如月(きさらぎ)は旧暦の二月、現在でいえば三月です。そのもちつきですから すなわち三月の十五日・満月の夜です。それはブッタの涅槃の時をさしています。さくらの花が怪しいまでに白く輝いている時刻、ブッタの涅槃のように死にたいものだ、というのです。そして、西行は願いの通り きさらぎのもちつきのころ 満開の花の下で亡くなったと言われています。
夜の桜はピンクと言うより青白い怪しげな色をしています。花全体が怪しげな一塊の生きもののようです。窓の外の夜桜を見ていると、なぜか西行の歌が生々しく思い出されます。
あっという間に花は散り始めました。つかの間のはかない命です。
参照までに。友人から下記文章が届きました。
ブッダはクシナーラーの地で歩みを止めた。そして2本のサーラ樹(沙羅双樹)のあいだに設けられた寝台の上に横になり、頭を北に向け、右脇を下につけて、両足を重ね、心を正しくとどめた。「私はもう疲れた。私は横になりたい」そうブッダは呟いた。するとその時、沙羅双樹の花が一斉に咲き誇り、ブッダを供養するかのごとく降り注いだ。[アーナンダよ。不思議なことに沙羅双樹が咲き乱れ、降り注いでいる]