陶芸工房 朝

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綿の花

2022年11月27日 | 日記・エッセイ・コラム

 春先に、友人から綿の木の苗を頂いた。

「水やりと時々肥料を・・」ということだったので日当たりの良い場所において、一日おきに水をやり時々油粕を入れたりして大切に育てた。

 

  

 夏になると木はどんどん伸びてご覧のように2メートル近くなった。

   

   

  9月になると、おくらによく似た薄黄色の花をたくさん咲かせた。

    

  その花が落ちるとこんな綿の実が現れた。一つの花からふわふわの「綿」のボールが3個。綿の中には種が入っている。

 

 

 先日、苗をくれた友人が織物展を開いたので見に行った。

   

 綿の実を細く撚って糸にして紡ぎあげた綿のスカーフ。ふんわりとしていて素敵だ。

          まさに魔法のような手仕事だ。

 

  

   綿の木からとった綿と紡いだ糸と、それを染めて織った布地

 

綿の花は知っていたが、その綿で地球上の人間の着る着物や布団を作り上げることを考えたら、ちょっとしたショックを感じた。1枚の布団を作るだけでも、気の遠くなるような綿の木が必要なのだ・・・と。

人類が綿を使い始めたのはなんと紀元前5000年頃からだという。機織りや紡績は綿の木の育つインドのインダス川流域で発展し、長い時間をかけて世界中に広がっていった。その痕跡は、ペルーのインカ帝国や古代エジブトの墓などからも発掘されているという。人類の気の遠くなるような時間から生まれた貴重な文化遺産・・木綿。

そういえば、日本だって戦前は生糸の生産は世界一だったし、養蚕は重要な産業だった。藍染めの藍だって同じことがいえる。それがいつの間にかいろいろな本物が消えて、石油製品に入れ替わっていった。進化ってそんなことなのだろうか? 綿の木を育てただけなのにふとそんなことを考えてしまった。