野仏に手折りて供へん梅一輪
立春です。暦の上では春が始まっています。
町中でも梅の花が咲き始めました。明るい日差しの中、野山を散策するのが楽しい季節になりました。
散歩に出かけた近くのお寺で、写真のような石仏を見つけました。
すっかり古びてしまったからでしょうか、寺の奥庭の隅っこに追いやられ捨てられたように並んでいる野仏です。
苔むしていますが、よく見ると細かい装飾に取り巻かれた美しい石仏の姿がうかがえます。
こちらは三面馬頭観音? でしょうか、微笑んでいるお顔の表情が可愛いい石仏です。
頭が欠けてなくなってしまった石仏もあります。それがまた時の重さを思わせて、かえって味わいを深くしているように感じられます。
そのどれも、遠い昔、誰かが、深い願いを込めて掘らせ、祈りをこめて奉納したのでしょう・・・・。
清水寺は、家康が駿府に人質に出された頃からある今川氏のお寺です。「京都からやってきたお姫様が寂しがるので、ふるさとの清水寺を模して造らせたお寺」と私たちは聞かされてきました。近隣には京都と同じ「音羽町」などの地名も残っています。
お寺は、昨今の家康ブームで家康一辺倒・・・、今川氏から続く寺院の面影は失われつつあります。
梅一輪一輪ごとのあたたかさ 服部嵐雪