朝から耳をつんざくような蝉の声です。
ミーンミーーンという音量の大きさから「蝉は近くにいるはず」と目を凝らしても、
声はすれども姿は見えず・・・・なかなか見つかりません。
声を頼りに目を凝らすと、いました、いました。立派な蝉が体を大きく震わせて鳴いています。
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そのあまりにも悲壮な鳴きざまに、
「羽化するということは、昆虫にとっては、まるで補陀落渡海のようなものかもしれないね」
と、先日、友だちと話したことを思い出したのでした。
補陀落渡海とは、南方の海の果てにあるという浄土をめざして、死出の船出をすること。
蝉の一生は 6年~7年。卵が羽化すると幼虫は土の中に潜りこみます。
でも、土の中に入った幼虫にもたくさんの敵がいて、生き延びるのも大変なのだそうです。
そんな中で数回の脱皮を繰り返し、7年かかってやっと地上に顔を出した蝉です。・・・が
それほどに 鳴くはなんぞ 蝉時雨