手をつなぐ親の会(知的障害者の親の会)に入会してもらった会報に「キャリア教育」のことが書いてあった。
私には「キャリア教育」=”就労のための準備”というイメージで、”高校生になってから職場体験をしたりすることかな?”と漠然とした印象しか持ってなかったけど、実はそれだけではなくて、例えば東京都の定義で言うと
「勤労観(自分でやれることを増やし、役割を果たそうとする態度・意欲)と職業観(主体的に自らの生き方や、進路選択ができる能力・態度)の2つを、障害の特性や発達段階に応じて育成する教育」 のことらしい。
もっと噛み砕いて言うと
勤労観とは ・日常生活動作や基本的な生活習慣を身につける力
・社会生活、家庭生活に主体的に参加し役割を果たす力
職業観とは ・職業に就こうとする態度、意欲
・実際に働く力や職業的な自立に必要な力
具体的な教育の内容としては
①人間関係形成能力 ②情報活用能力 ③将来設計能力 ④意思決定能力 の領域に分かれている。
で、定義の”発達段階に応じて”は 実は小学生の段階からスタートし、主に勤労観を育てることがメインとなるそうだ。
仕事に必要な具体的な技術(例えばPCや機械の操作的なこと)は社会人になってから身につけても遅くない。
それより、時間を守る・指示したことを理解できる・わからないことがあったら質問できるといった基本的なことがまずできないと就労はおぼつかない。
そういうことは大きくなったら急にできるようになることではなく、小さいうちからの積み重ねが大事になるんだよね。
そして、自分には何ができ、何ができないのかを自分で理解し、得意なことを役割として活かし、不得手なことは周りの支援を求めることができるようになることが大切。
私は、自分が高齢出産だったこともあって、バンビが成人した後のことをよく考える。
健常な子ならいつか自分から親の手を離し一人で歩いていくようになるけど、障害児(特に知的障害児)はたぶん成人しても何かしらの支えが必要。
でも、ずっと親が手をつなぎ続けるわけにはいかない。
いつかその手を離し、他の人に委ねなければならない日がくる。
だから、小さいうちから バンビを”他の人と手をつないで生きていける子”に育てようとずっと思ってきた。
人に好かれる子に、好かれないまでも 人に疎まれない子に。
支えてもらわなければ生きていけないのなら、支援しやすい子にしてあげたい。
それが 親として私にできることだと思うから。
挨拶や、ありがとう・ごめんなさい が言えるように。
列に並ぶ・順番に従う、社会のルールを守れるように。
悪いことはもちろん、何をしたら人が迷惑と思うのかもわかるように。
我慢することも大事。必要な時には主張することも大事。
清潔感が大事だと思うから身だしなみにも気をつける。
ずっとずっとそういうことに 自分自身ちょっと過敏かな?と思う位気をつけてきたつもり。
バンビの不得手なことはだいぶ把握できてきたので、後は得手なことをどう将来につなげていけるか そこを考えてあげるのが私の課題だと思ってきた。
ま、それが私なりの「キャリア教育」と言えば、そうなのかもしれない。
そもそも 人は何故働くんだろう?
まずは、もちろん生活の糧(賃金)を得るため。
でも、たぶんバンビが将来働いて得た賃金だけで自立した暮らしをすることはできないだろう。(悲しい現実だけど)
それでも働くことの意味はどこにあるの?
例えば、わずかな賃金でもそれで好きなものを買ったり、趣味に使ったりして、生活を豊かにすることはできる。
頑張って働いて、お給料をもらって買い物できるって、それだけでもバンビなりの達成感は得られるだろう。
それに、職場=バンビの居場所。社会と関わる大事な場所になるはず。
バンビには将来もずっと”この世に生きてることは 大変なこともあるけど、楽しいこともいっぱいあるよね。”と思って過ごしてもらいたい。
”多くの人に支えられて生きている自分も、何かしら社会の役に立つことがあるんだ。”と思えるようになってほしい。
それにはやっぱり”働き続けられる職場”が必要。
親にできることは 社会的環境整備もあるけど、まずは自分の子どもをどう育てるか。
働き続けることのできる子に育てるには(取りあえず就労はできても、それを継続することは意外と難しいらしいと聞くし)どうしていったらいいか...
小学生のうちから考えていかなくちゃいけない課題なんだなぁ。
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