テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 荒野の暗雲 ――

2013-08-22 21:58:37 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふぱァ~! いちろーさんがァ、やッたのでス!」
「がるる!ぐるる!」(←訳:虎です!大記録!)

 こんにちは、ネーさです。
 今日8月22日は、沸きましたね、イチローさんの快挙達成に!
 カッコいいなぁ♪と感激しながら、
 さあ、今日も読書タイム!
 本日は、クリーンヒットのごとく歴史の暗部を切り裂く快作フィクションを、どうぞ~!

  



 
               ―― 楽園の蝶 ―― 



 著者は柳広司(やなぎ・こうじ)さん、2013年6月に発行されました。
 『ジョーカー・ゲーム』で大人気となった著者・柳さんの最新作は、
 書き下ろし作品です。
 ファンの方々は、もうお読みになりましたか~?

「あんやくするゥ、ちょうほうきかんッ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:その名は魔王!)

 おっとと、そうじゃないんです。
 『ジョーカ・ゲーム』『ダブル・ジョーカー』『パラダイス・ロスト』で描かれた、
 日本軍の諜報組織《D機関》は、
 この御本には登場しません。
 けれど、魔王配下のスパイたちの代わりを務めるかのように、
 或る人物が物語に君臨します。

 満州映画協会の、
 甘粕正彦(あまかす・まさひこ)理事長。

「りじちょうゥさんッ?」
「がるるぐるぐるぅ?」(←訳:映画人さんかなぁ?)

 その名を聞いてピンと来なくても、
 映画『ラスト・エンペラー』で坂本龍一さんが演じた役、と聞けば、
 ああ、あの!
 と思い当たりましょうか――

 昭和17年6月。
 甘粕理事長率いる満州映画協会に
 ひとりの“新人さん”がやって来ます。

「はいゆうさんッ、でスかッ♪」
「ぐるるるがるがる!」(←訳:美人女優さんかも!)

 世にカメラの前に立つ者と
 カメラの後ろに立つ者、
 2種類に人間がいるとするなら、
 その新人さんは後者――カメラの後ろに居る側の人でした。

 少年時代、故郷・京都の映画撮影所に入り浸って
 映画作りの現場を見学していた朝比奈英一(あさひな・えいいち)さんは、
 親戚の紹介を得、
 満州映画協会に職を求めたのです。

 朝比奈さんの面接に当たったのは、
 なんと、甘粕理事長本人。

「……なんだかァ~」
「がるぐるる!」(←訳:不安だよう!)

 緊張の面接を経て、
 望んでいた通り、
 映画撮影の、まさに現場で働くことになった朝比奈さん。
 自信作として監督に提出したシナリオはボツにされちゃいましたが、
 別の物を書け!と命令されました。

 次に撮影を予定している探偵物の脚本を!

「たんていィもののォ、えいがァ??」
「ぐるるがるぐるる!」(←訳:それも不安だよう!)

 探偵的視点を意識し始めたためでしょうか、
 それとも偶然なのでしょうか、
 朝比奈さんと撮影現場、
 そして映画協会の周囲に、
 奇怪な出来事が連続してゆくのは……?

「せすじィがァ~…」
「がっるぐるるる!」(←訳:ゾッとしてきた!)

 《ジョーカー・ゲーム》シリーズとは味わいの異なる、
 けれど、あの時代を描かせたら筆力迫力は随一!な著者・柳さんの新作、
 歴史好きさん&ミステリ好きさん、
 “魔王”ファンの方々もぜひ一読を~!
 


コメント
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