テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 平和の飛翔 ~

2013-08-23 21:55:07 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 もういくつねるとォ~しんがッきィ~♪」
「がるる!ぐるるるがるるる!」(←訳:虎です!夏休みも残り僅か!)

 こんにちは、ネーさです。
 夏休みの自由研究といえば、
 かつては昆虫採集が人気、だったような気がしますが……
 近年は何が流行なのかしら?
 本日の読書タイムは、昆虫の代表格――蝶をめぐる一冊を、どうぞ~!

  



 
            ―― 蝶コレクターの黒い野望 ――



 著者はピーター・ラウファーさん、原著は2009年に、日本語版は2010年8月に発行されました。
 英語原題は『THE DANGEROUS WORLD OF BUTTERFLIES』、
 『乱獲と密売はいかに自然を破壊したか?』と日本語副題が付されています。

 著者のラウファーさんは、本国アメリカでは
 国境問題やイラク戦争など政治をテーマとするジャーナリストさんとして
 よく知られた御方なのだそうですよ。

「むむゥ? せんそうのォ、じゃーなりすとさんなのにィ~」
「ぐるるがるる??」(←訳:蝶々の御本を??)

 戦争、戦禍、兵役など、ずしんと重いテーマの御本を著していたラウファーさん、
 インタヴューや朗読会で、頻繁に質問をされます。

   次はどんな本を書くのですか?

 そういった“お定まりの質問”に、或る時、
 ラウファーさんは答えました。

   次は蝶と花について書くつもりですよ。

 ふっと思いついての、、半分は冗談のつもりだった言葉でした。
 残虐で凄惨な戦争報道から、
 いきなり正反対の方向――蝶々とお花についての御本、なぁんて、
 まさか、ね?

「ふつーはァ、ないィでスゥ!」
「がるがる!」(←訳:ないない!)

 普通なら、そうなのでしょう。
 でも、意外な反響もあったんですよ。

 蝶の保護地に住む人からの、
 ラウファーさんを招待するメールが来たんです!

「ちょうちょうのォ、ほごちィ??」
「ぐるるるがるる??」(←訳:そんなのあるの??)

 あるんです、南米のニカラグアに。
 そして、多くの種類の蝶が絶滅危惧種に指定されながらも
 違法な取引の対象となり、
 高額で売買されている事実を
 ラウファーさんは知ってゆきます。

 美しい蝶々の世界は、平穏なものではなかった、のだと。

 蝶々を飼育して売り捌くブリーダーたち、
 オークションサイトでの販売、
 世界一のお尋ね者蝶密売人は日本人?
 取り締まる側の米国野生生物保護局、
 違法と知っていて買い取るコレクターたち……

「こッ、こわいィ!」
「がるーる!」(←訳:ホラーだ!)

 ええ、ある意味、悪夢のような、
 恐ろしくもある蝶々の世界――

 蝶に関しては、まだ解明されていない事柄がたくさんあります。
 それを放置したまま、
 人間の思惑が暴走してゆく事実。

「ちょうちょうにィ、へいわをッ!」
「ぐるぐるがるるぐるる!」(←訳:のんびり翔べる世界を!)

 蝶々の世界も人間の世界も
 平和で穏やかなものに成り得ないのか?
 欲得とは無縁の?

 謹厳な、もの悲しげな、
 しかしユーモアも忘れないノンフィクション作品は
 ちょっと難しいかもしれないけど夏休みの青少年ズに、
 そして一般活字マニアさんにもおすすめです。
 ぜひ!
 


 
コメント
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