テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

《騙し》のシステム。

2017-04-20 21:59:36 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでスゥ!
 せみィふぁいなるゥ、しんしゅつゥ~!」
「がるる!ぐるるぅっ!」(←訳:虎です!四強だぁっ!)

 こんにちは、ネーさです。
 やりました……!
 我らがユーヴェ、バルセロナを退けてCL準決勝進出です!!
 ホントにもう、嬉しすぎてもう、実感が湧きません。
 アタマのどこかがぽわ~んとなっちゃってるまま、
 はい、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



         ―― ピカソになりきった男 ――



 著者はギィ・リブさん、原著は2015年に、
 日本語版は2016年8月に発行されました。
 仏語原題は『AUTOPORTRAIT D'UN FAUSSAIRE』、
 “贋作”作家リブさんによる手記、というべきか、
 半生記というべきか……。

「がんさくゥ!?!」
「ぐるがるぐるぅ!」(←訳:それ犯罪ですぅ!)

 ええ、犯罪です。
 著者・リブさんも贋作は犯罪であると
 きっちり認識しておりました。

 なにしろ、御本の本文の第一行目が、

  《その朝、俺はピカソだった。》

「ふぁァ?? ぴかそォさんッ?」
「がるるるー!」(←訳:なんたるー!)

 《ピカソだった。》のみならず。

 時にはルノワールさん。
 また時にはマティスさん。
 はたまたダリさん、シャガールさん、
 ヴラマンクさん、フジタさんにもなる――

 そう、リブさんはプロの贋作家だったのです。

 巨匠さんたちの画風を真似て、
 巨匠さんたちが使ったのと同じような画材で、
 巨匠さんたちに好まれた主題の画を描く。

「あわわわわッ!」
「ぐるるるがるー!」(←訳:そんなのダメー!)

 もちろん駄目です。駄目ダメです。

 その証拠に、
 《ピカソだった》朝から数時間、
 昼食を終えたところでリブさんは囲まれます。

 フランス警察の、偽造抑止捜査班の捜査員たちに。

「むむゥ、やぱりィ!」
「がるぐる!」(←訳:天網恢恢!)

 リブさんが逮捕されたのは2005年。

 しかし、それまでの10年間、
 リブさんは偽造の腕前をフルに発揮し、
 おそらく数百、
 もしかしたら数千もの作品の
 偽造と流通に係わっていたのでした。

   ――こんなことをする俺って、何者なのだろう――

 第二章以降で
 リブさんは自身の半生を振り返ります。

 俺が、どこに生まれ、
 どう生き、
 ついには贋作を日々の糧とすることになったのか。

「ふうゥ! まるでェ、あらしィ!」
「ぐるるっるがる!」(←訳:無軌道ってヤツ!)

 たまには、リブさん、“自分”の絵を描くんです。
 “贋作”ではない、オリジナルの油彩画、水彩画も。
 画商に誘われ、
 東京で個展を開いて大成功、
 大金を稼いだこともありました。

 なのに、どうしてか、リブさんが戻ってゆくのは
 “贋作”の道。

「だからァ、んもうゥ!」
「がるるるるっるる!」(←訳:止めなさいってば!)

 結局は“贋作”の泥沼を脱し得なかったリブさんが
 とうとう逮捕されて後、
 どのような目に遭ったかというと――

 これが、実に意外な!

「えッ? なになにィ??」
「ぐるるるる?」(←訳:どうなるの?)

 御本の終盤、
 ううむと唸らされる展開は、ええ、ここには記しません。
 
 リブさんとリブさんの贋作を受容し、利用し、
 また利用もされた美術界の光と影。

 天然なのか、ふてぶてしいのか、
 正体不明のリブさんの波乱の人生を、
 アート好きな活字マニアさんは、
 ぜひ、一読を♪
 
 
 
 
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