喫茶 輪

コーヒーカップの耳

『えっちゃんの夏』

2023-04-04 10:59:07 | 本・雑誌
芦屋の詩人、山下徹さんからお送りいただいた『えっちゃんの夏』(芦屋芸術刊・1500円)を昨日読んだ。



少し前に届いていたのだが、ほかに読む本があったのでページを開くのが昨日になってしまった。
「えっちゃん」とは著者の夫人だった人。
9年前に末期のすい臓がんと診断され、あっというまに旅立たれた。

わたしも徹さん共々知る人だった。
初めてお会いしたのはおそらく30~40年ほど前。
わたしが参加していた「春風将棋グループ」(春風公民館)にご夫妻で参加してこられたのだった。
徹さんが詩を書いておられたのも知った。
そのころたしか、青木はるみさんの教室に出入りしておられたかと思う。
わたしはお二人と仲良くなり、米の得意先にもなってくださった。
その後、春風将棋グループとは離れたが、損害保険業を営むお二人とのお付き合いは続いた。
保険の更新時にはご夫妻で「喫茶・輪」に来店され、食事をしコーヒーと会話を楽しまれた。
保険は今もお世話になっている。

悦子さんが亡くなられたことを聞いてわたしも吃驚したのだった。
あんなに元気に、お二人で仲良く来てくださっていたのにと。

読み始めると一気だった。
ぐいぐいと引き込まれ、約170ページの本を遅読のわたしが一日で読み終えた。
前半で病気との戦いが描かれ、後半は徹さんの心情を交え、時をさかのぼり、出会いのころからのことも書かれていて、お二人の人間性がよくわかる。
そして悦子さん亡き後の徹さんの心の動き、生活の変化。
それをさらけ出すように書いておられる。

徹さんは、悦子さんを亡くした後、すでに何冊もの関連本を出しておられ、わたしも読ませていただき、
その度ごとに感動を受けた。
しかし、今回の本には大きな衝撃を受けた。
これまでのものとは大いに違う。
徹さんが心の内をさらけ出しておられるのだ。
彼にとってのマイナス面も、一般には恥ずかしいと思われることも包み隠さずさらけ出して書かれているのだ。
これは凄い、と思いながら読ませていただいた。
しかし、読み終えて、悦子さんも徹さんも充実した人生を送られて、幸せだったんだと思った。
だれもが経験したくても(したくないともいえる)できないような経験をしてこられたのだ。
読み終えてみて、それが大いに救いになっている。
読ませて頂いてありがとうございます。
改めて、「悦子さん、安らかに」とご冥福をお祈りいたします。
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