自転車ひとり旅★

自転車大好きなTVディレクター日記。

岐路。

2020年04月13日 00時05分04秒 | おしごと日記
スタジオ収録も ロケも 全てがストップしております


仕事量が一気に減ったので
家がどんどん綺麗になっていきます
掃除は大いなる気休めです(笑)





ストップになる直前に仕上げた 5月放送予定のチャリダーは
ある人と旅を撮影してきました





ある意味チャレンジングなロケだったのですが
予想をはるかに超えて とても心に残る作品となりました




自転車の良さの中には いくつか要素があると思いますが
その中で「孤独」は大きなポイントだと思っています
雄大な自然と対面するたびに
ちっぽけな自分を感じたり
峠を越えるたびに 店とも人とも出会わない寂しさを感じる

あの感じを これまでなかなか番組では表現できなかった


なぜなら 番組の撮影は
旅人の他に
ディレクターがいて
カメラマンがいて
ドライバーがいて
ADさんがいて
音声さんもいる

こんな状態で 孤独なんて感じるわけがない




自転車探検部は 私と二人っきりで行く上に
途中でほったらかしにされるので
多少は寂しさを感じてもらえたと思いますが
その国の人たちが写すメインになるので
やはり旅人の孤独にまでは 手が届かなかった


それが今回は 素晴らしい旅人のおかげもあって
少しだけれど 描けた気がする

久しぶりに 「撮影/ディレクター」と表示できたことも大きいけれど(笑)
個人的に とても心に残る作品になった



まだ詳細が開かせないのが残念ですが
放送は5月中旬
ぜひ 旅好きの皆様にご覧いただきたいです








旅の大事な要素の一つである「孤独」
これを表現できたと思えるまで かなりの時間を費やしてしまった


その最初のきっかけをくれたのが
茂山宗彦くんと2人で行った 経ヶ岬への旅






たまたま持ってたCANONのIXYで動画を撮ったら
「意外と簡単じゃん」となった
このちょっとした出来事が その後の仕事を大きく変えてくれた



ちょうどその頃 NHK BS1で
「地球テレビ エルムンド」というレギュラー番組が始まった



私もメンバーに選ばれ
世界の「今」をレポートするVTRを作ることになったのだが
実は最初「お前がレポーターとして出演しろ」という話だった(笑)

お断りして 代替え案を提案
自分が撮影もできると確信できたため
「撮影/ディレクター」として行く自転車探検部を
考えることができた


あのとき 自分が出演者となる道を選んでいたら
まったく別な人生が待っていたかもしれない



人生は 選択の連続だけれど
後から思うと 大きな岐路だったりする
あのとき ブレずに選べて良かった





人生初の「撮影/ディレクター」で行ったカンボジアで
新たな岐路が待っていた





それまで欧米にしか興味がなかった私が
このカンボジアロケ以降 辺境マニアへと変貌して行く





このロケで失敗こかなくて良かった(笑)








カンボジアの枯れた川で
魚を獲っていた少年
丸一日 川底を這い回り
獲れた魚は 雑魚数匹

それでも自分たちには
この川しかないのだと 語る眼差しがとても寂しかった


このシーンは 個人的になんとか番組に入れたかったけれど
最終的に入らなかった


こうして文章にして書くと
一つのシーンとして読めるけれど
映像では なかなか見られるシーンにならない

オチも救いも無いからだ


こういう「救いのない寂しさ」をシーンとして生かすのは
実は一番難しい
探検部をやっていた頃は
自分にその力量がなかった
寂しいシーンを活かすには
何を撮れば良いのか 何が必要なのかがわからなかった


10年経って
今なら 何を撮ればシーンとして活かせるのか
少しはわかる




43歳にもなって
ようやく描けたことがある
それが素直に嬉しいです