自転車ひとり旅★

自転車大好きなTVディレクター日記。

パンク天国・タンザニア。

2020年04月21日 13時59分59秒 | おしごと日記



今日はアフリカ・タンザニアの話をひとつ






スタート地点はキリマンジャロの西 アルーシャという街
キリマンジャロを一周して 道路最高地点まで上るという旅だった






キリマンジャロの南側は 諸外国の援助によって立派な道路が作られていた
この舗装エリアは コーヒーの栽培が盛んな地域で
舗装路はまさにコーヒー運搬のために作られたかのようだった





北 西側のほとんどは乾燥地帯で 道路は赤土のでこぼこ道
浮いた砂でズルズル滑るこの道が 旅を面白くしてくれた





疲れ果てて 道の真ん中で倒れこんだ旅人の青木ムネ
さんざんコケまくったので 新品だったRAPHAのパンツは
最後は穴だらけだった






撮影していると
さっきまで誰もいなかったのに
気がつくと人に囲まれている(笑)


神出鬼没
現れるのは マサイの人たちだ






旅の途中 ムネが野生動物が見たいというので
1日かけて探すことにした
狙うエリアは 保護エリアに近いキリマンジャロの北西側


だが 走っても走っても野生動物は現れない
数キロ向こうまで見渡せるのに なんの気配もない
いた! キリンだ! と思ったら
枯れ木だったりする
ずっと動物を探して目を皿のようにしていると
木や茂みが動物に見えてくるのだ(笑)





乾燥地帯は非常に危険だ
水や食料は 数十キロ離れた村に行かないと手に入らない
乾燥しているので 水分の減りが異常に早い

しかも 気がつくとパンクしている
植物が棘だらけで
タイヤを見ると10箇所以上に でかい棘が刺さって
チューブまで貫通している


いつもより多めの予備チューブを持って来ていたが
あっという間になくなり
さらに大量に持って来たパンク修理のパッチも底をついた





ここでも 気がつくとマサイの青年が現れて
修理を手伝ってくれた
見渡す限り 誰もいなかったはずなのに(笑)



しかも青年は 村へ連れて行ってくれた





土でできた マサイの家
中は昼間でも暗くて涼しい
真っ暗闇の中 手探りで進んで行くと
突然目の前に 白いものが現れた
何かと思って よく見ると
青年の母親の笑顔の歯だった(笑)



村は野生動物から守るために 棘のある植物で囲まれており
地面はふかふかで気持ちよい
まるで高級ホテルの絨毯の上を歩いているようだ
あまりに地面がふかふかなので 何かと聞いたら
家畜の糞だった

夜になると村の中に家畜を入れるためだ




おしゃれな衣装で有名なマサイだが
このような洒落た服になったのはここ20年ぐらいのことだという
その前は普通に 動物の皮などを身につけていたらしい


村にはもちろん売店なんてなかった
青年の母親(ちなみに歳は私と同じぐらいだった)が 気遣ってくれて
牛の乳をご馳走してくれようとしたが
これは丁重に断った
あれを飲んだら 私は生きて戻れる気がしない



別れ際 青年が野生動物がいるエリアを教えてくれた
村からさらに20kmほど荒野を走ると
キリンの群れに遭遇した


そろりそろりと近づいて行くと
キリンたちは一斉に顔をこちらに向けて警戒する

そして 200mぐらいまで近づいたところで
群れは走って去って行った
大きな体を スローモーションのように動かして


美しかった


美しすぎて 涙が出た


見えなくなった後も
ムネと私は ずっと黙って眺めていた