◇嫌われ松子の一生(2006年 日本 130分)
監督・脚本 中島哲也
◇極彩色のミュージカル調が好きか嫌いか
という点において、ぼくは一度、観るのを断念したことがある。どうしてもこの感覚についていけなかったためで、これはたしかに好き嫌いが分かれるところだろうなとおもった。でもまあ、その後、おもいなおして観たのが今回だ。観たっていうか、観ることができた。
松子という人間の純粋さのせいで転落していくという数奇な生涯を追っているんだけど、やっぱりどうも原作の趣味なのかもしれないんだけど、どうにもやるせない雰囲気が漂ってくる。女性が転落していくのはなんでか知らないけど男がらみのことが多くて、そういうところからいえば、教師をしているときの最初のあやまちである財布うんぬんのことだってやっぱり男子生徒なんだよね。松子の場合、それでもアイドルが好きだったりして、どこまでも興味の対象が純粋な恋にあるところがいかにも哀れだなあという詠嘆しか出てこなかった。
ちょっと滅入るな。