◎007 スペクター(2015年 イギリス 148分)
原題 Spectre
監督 サム・メンデス
◎Mの遺言が発端になってる
とは知らなんだが、まあどこかで話が繋がっているのがダニエル・クレイグ版のボンドだから、これはこれでいい。
というよりもこの頃ぼく自身年を取ってきたものだから、前の話と繋がっているのは好いような悪いような感じなのだ。繋がっているのがわかるとどうなるのかといえば、ああそうだったかもしれないと頭のどこかで前作の断片が浮かんでくるんだけど、困ったことにはまるでおもいだせないものだから話がよく見えてこないという場合もあったりする。ああ、いやだいやだ。
で、それはさておき、今回は、前作の「スカイフォール」が故郷をはじめとした過去との決別というのが主題のひとつだったようにおもえるんだけど、それに対して過去の因縁が甦ってくるというのが話の底にある。宿命のライバルとでもいうべき存在がそうスペクターなんだね。
物語はちょっと荒唐無稽なところが多くなりすぎてる気がしないでもない。たとえばオーストリアの山岳でスキー場を滑空していく翼のもがれた飛行機とか、砂漠のクレーターの中にある秘密基地とかさ、そういうのが出てくると渋みが薄れて興味も半減しちゃい始める。以前の007がそうだったように、ボンドの超人ぶりと悪党のまぬけなでかさばかりが強調されてしまいかねないからだ。そういった中では冒頭のメキシコシティの「死者の日」の髑髏のパレードの場面が凄かった。ワンカットで延々つなげていくんだけど、これがたとえCGを使っているにせよ、見事だった。
(以下、2022年6月18日)
なるほど、アメリカンはタンジールのホテルの名前だったんか。