◇ジョン・カーペンターの要塞警察(1976年 アメリカ 90分)
原題 Assault on Precinct 13
監督・脚本・音楽 ジョン・カーペンター
◇リオ・ブラボーのオマージュ
これって封切られた頃はただの「要塞警察」ってタイトルじゃなかったっけ?
ま、そんなことはどうでもいいんだけど、なんとまあ乾いた映画だろうね。立て籠もることになる国人の警部補オースティン・ストーカーが9分署のなんか妙に色気たっぷりの女性職員ローリー・ジマーに珈琲を淹れてもらったときに「ブラック?」と訊かれて「生まれつきね」と答えるあんまり程度のよくないジョークのときから、乾き切ってる。
この渇きは、警察を憎んで復讐したいとおもってる人種の坩堝を象徴するような集団ストリート・サンダーがサイレンサーでアイスクリームを買いに来た少女もろともアイスクリーム屋を射殺するとっても乾いた場面に繋がり、やがて9分署への大襲撃が始まるんだけどこれまた乾いた演出で次々に人が殺され、警察署はぼろぼろになっていく。
そうした場面が時刻の表示と共に淡々と描かれていくんだけど、いやまあ、なんとも素人臭くそれでいて70年代のアメリカを凝縮したような画面つくりはたいしたもんだ。音楽もこの頃のカーペンター作品とよく似てて単調ながらも妙な盛り上がりのある仕上がりになってる。
とはいえ、いくら悪党どもがサイレンサーだとかいっても、署内でがんばる連中はジョン・ウェインよろしくショットガンをぶっぱなし続けて窓ガラスも壁もドアも次から次へとぶっ壊してるんだから、いくらなんでも付近の住民たちは気づくんじゃないか?