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☆=☆☆☆☆☆
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セールスマン

2017年11月06日 00時17分41秒 | 洋画2016年

 ☆セールスマン(2016年 イラン、フランス 125分)

 原題 فروشنده

 監督・脚本 アスガル・ファルハーディー

 出演 シャハブ・ホセイニ、タラネ・アリシュスティ、ババク・カリミ、ミナ・サダティ

 

 ☆舞台が関係あるようなないような

 やがて悲劇に巻き込まれる夫婦がふたりして参加しているのが『セールスマンの死』なんだけど、このアーサー・ミラーの戯曲と二重構造になってるのかとおもえば、どうもそうではないようで、もしもなんらかの関係があるのならぼくごときでは見抜けないほど巧緻な演出なんだろう。でも各地で賞をとってるんだから、なんかあるのかもしれない。だいいちタイトルも『セールスマン』なんだから。

 とはいえ、内容はそれほど複雑なものじゃない。引っ越してきた先の元の住人が娼婦だったがために、奥さんのところへ見知らぬ男(つまり娼婦の客ね)が訪れ、たまさかシャワーを浴びてたものだから欲情のおもむくままにレイプされちゃうんだけど、生徒たちから好かれている教師のだんなが「犯人を見つけてやる」と執拗に探すことになり、家の中に落ちていた鍵から乗り捨ててあったトラックを見つけ、そこからたどって犯人の老人にいきつくものの、そいつを謝らせようとして連れ込んだ自宅で心臓発作をひきおこされてしまうまで責めなじることで、仲の良かった夫婦に溝が生まれてしまうという皮肉はどうにも悲しく辛い。妻がレイプされたときにはふたりの仲に亀裂が生じるわけではないのに、その処置によって人間性がさらけ出されてしまうことで妻が夫の心に妙な絶望感を生じさせてしまうというのは、ほんと切ないな。

 まあそれはさておき、アカデミー賞の授賞式には出られなかったけど、来日はできたタラネ・アリシュスティ、綺麗だな~。ほんと、中央アジアっていうか中近東っていうか、あの地域の美人はまじに美人なんだよね。知的だし、いうことなしなんだけど、今回の物語の場合、こうした美貌が仇になるんじゃなくって、誰であろうと女性でシャワーを浴びてただけという些細な偶然によって引き起こされてるんだよね。そういう社会なのかな~っておもえてしまうのも、イランにとってみれば厳しい現実なのかもしれないね。

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